#岸田BOXに沢山の質問をいただいた年金について
この数日、河野太郎さん、高市早苗さん、野田聖子さんと充実した論戦をさせていただいております。やはり、自民党の人材は厚い。
そして、ここ数日、年金についていくつかの場所で議論が出ていますので、少し議論を整理してみたいと思います。
我が国の年金制度は、保険料を払った方には確実に給付をするという「保険方式」を採用し、低年金の方には消費税を財源とする「年金生活者支援給付金」を組み合わせています。
基礎年金を「税方式」にして最低保障年金とし、一定の所得のある方には年金を我慢してもらうというような提案は、民主党がマニフェストとして掲げて、結局は実現できなかったものです。
なぜ、民主党時代に実現できなかったのか、それは我々、当時自民党も指摘を繰り返しましたが、乗り越えるべき課題が多すぎたからです。
例えば、保険料の一部が税に置きかわりますが、多額の税財源が必要でその財源をどうするのか。民主党政権時代の社会保障国民会議では、基礎年金部分のみ税方式を採用した場合でも、消費税8%程度の増税が必要とされました。
また、現在は、サラリーマンなどの厚生年金加入者の基礎年金部分には事業主負担もあります。その部分が消費税に置き変わりますが、事業主負担を減らすことになりますので、労働分配率を高めるべきという方向とは逆行します。
さらに、移行期の問題があります。例えば、これまで厚生年金に加入をして二階部分も含めて年金を受給予定の方からすると、税方式の最低保障年金部分は受け取れるのかもしれませんが、二階に相当する部分は、どうなるのでしょうか?その時の現役世代が、積立方式で自身のために積み立てを行っているとすると、その分の年金額はどこから調達することになるのでしょうか。まさか掛け捨てにすることはできません。
年金は国家100年の計です。具体的な設計がなければ、議論になりません。最低保障年金は、耳あたりの良いフレーズかもしれませんが、以下のような様々な課題を一つ一つ詰めた上で、世の中に提示をしなければ、徒に期待や不安をあおるだけの結果になることに注意しなけばなりません。
・最低保障年金の金額の水準はどうなるのか、
・そのための財源として消費税は何%が必要なのか、
・年金を我慢してもらう方の所得水準はどうなるのか、
・移行期に現役世代には、二重に負担を求めるのか、
・既に払ってきた保険料はどうなるのか、
・生活保護との関係をどう整理するのか、
一方、私は、年金については、こうした耳目を集める提案よりも、地道な改革が必要だと考えています。
まず、現行の年金制度の課題は、国民年金と厚生年金の大きな差にあります。例えば、厚生年金に加入して40年保険料を納めて頂いた場合、平均的な方で月20万円以上、そうでないかたでも月10数万円の年金を受給して頂けます。一方で、国民年金だど、満額でも月6万円台です。
そのため、私は、人生100年時代の不安解消に向けて、現行制度をベースにしながら、働く人すべてに社会保険を適用し、厚生年金の世界に入って頂くことで、低年金・無年金の方を少なくし、それでも低年金の方には(年金生活者)支援給付金を組み合わせて、将来不安を一掃することを目指しています。
年金は、我々の生活に密着したものであり、できもしないことを言って、過度に期待や不安をあおるのは、トップリーダーとしては厳に慎むべきです。
私は、これまでの議論の積み重ねや実現可能性をしっかり見極めながら、国民の皆様・社会に確実にプラスになる、地に足のついた改革を進めて参ります。