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活動報告

【自民党総裁選2021 告示日第一声】信なくば立たず。岸田文雄の所信表明演説

このたび、総裁選挙に立候補いたしました、岸田文雄です。浅学非才ではございますが、全身全霊で頑張ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

先ず、この1年間、コロナとの戦いの先頭に立ってこられた菅総理に、衷心より敬意を表します。ワクチン接種の加速、2050年カーボンニュートラル、デジタル庁創設など、多くの成果を残されました。ありがとうございました。

出馬への想い

昨年の総裁選で、私は敗北いたしました。力不足でした。何よりも、私自身、総理になることへの「確信」がありませんでした。しかし、今回は違います。「今の時代が求めるリーダーは私である」そうした「確信」があります。総裁選に破れ、多くの方が、自分から去って行ったように感じました。「岸田は話しがつまらない」「岸田は終わった」そんな声が聞こえてきました。

夜になって家に帰ると、こうした厳しい言葉を思い返し、政治家としての役割は終わったのではないか。自問する日々でした。原点に立ち返るため、この1年間、多くの方々のご意見をお伺いしてきました。

ある時、地元の商店街を歩いていると、年配の女性に声をかけられ、お話を伺いました。春風薫る、穏やかな日でした。暫くお話を伺い、話を切り上げようとしたその時、こう言われました。

「政治家の先生に、こんなに、ゆっくり話を聞いてもらえたんは、初めてじゃけん。皆な自分のことは言うけど、話は聞いてくれんけん。やっぱ岸田さんじゃわ。」

ハッとしました。政治家として、厳しい批判にさらされる私にも、「聞く力」という特技がある。思い返してみると、私は、ご意見をお伺いするたびに、ノートに記し、読み返すことで、自分のやるべきことを考えてきました。私にとって、このノートこそ、最大の宝物です。そして、この1年間、国民の皆様からお伺いしてきた意見は、生活の苦しさについての切実な声と、政治に対する厳しいご指摘でした。

国民政党であったはずの自民党に、声が届いていないと、国民が感じている。

「信なくば立たず」

政治の根幹である国民の信頼が大きく崩れ、我が国の民主主義が危機に瀕しているのではないか。強い危機感を持つに至りました。

今こそ、国民政党として、国民の声を聞く、丁寧で謙虚な政治、多様な意見に寛容な政治が求められているのではないでしょうか。

新型コロナとの戦いが始まって、もうすぐ2年。国民の皆様が大きなストレスを感じ、疲れを感じておられる今、求められる政治は、自分のやりたいことを、「俺についてこい」と強引に押し付ける政治ではありません。ましてや、「俺が正しいんだ」と国民をねじ伏せる政治でもない。

一人一人の国民に寄り添い、その多様な声を真摯に受け止める。そうした、寛容の政治が求められています。

保守政治について

そして、我々の保守政治の根本は、こうした寛容の精神にあります。私自身も含めて、我々は、欠点の多い不完全な人間ばかりです。しかし、そうした不完全な人間の有り様を受け入れ、先人達が築いてこられた、地域の伝統・慣習・秩序を尊重しながら、様々な意見に耳を傾けつつ、一歩一歩、より良い社会を作っていく。これこそが、保守の精神です。

今、コロナで疲れ、バラバラになりかけているこの国を、もう一度、ワンチームにまとめ、みんなでこの国難を乗り越えていく、保守政治の原点に立ち返り、今こそ、「丁寧で寛容な政治」を進めようではありませんか。

チーム力・全員野球

もちろん、私一人では、実現できません。しかし、私には、素晴らしい仲間がいます。今この瞬間も、不肖岸田のために、汗をかいてくれている、全国の党員の皆さまがおられます。

自由民主党は、人材の宝庫です。目立たずとも、着実に仕事を重ね成果を上げる同僚議員が、あちらにも、ここにも、おられます。こうした皆様に光をあて、全員野球で、チーム力を発揮することが大きな力となる。全員で力をあわせて、正々堂々とした政治を取り戻してまいります。

自民党改革

そのためには、まずは隗より始めよ。4つの視点から、自民党改革を進めます。

1つ目は、新陳代謝です。党役員に中堅若手を大胆に登用し、自民党を若返らせます。比例73歳定年制を堅持します。そして、青年局・女性局の代表を党本部・都道府県連そして選対本部の役員に加えていきます。

2つ目は、権力の集中と惰性の防止です。党役員の任期を明確化し、総裁を除く役員任期を、「1期1年・連続3期」までとします。

3つ目は、地方との連携強化です。全国幹事長会議・政調会長会議を月1度オンラインで実施し、地方の意見を党運営に反映します。また、自民党イントラネットを構築し、政策や活動をリアルタイムに全国の組織・議員と共有します。そして、党員募集・党費納入など党員との接点のデジタル化を進め、次期総裁選挙はオンライン党員投票の実現を目指します。

4つ目は、政策力の強化です。毎年の骨太や予算編成を目指した一年毎の政策立案サイクルに加えて、中長期的な国家戦略を立案するための仕組みの構築やEBPMの強化などに取組みます。

小選挙区制の導入により、党の役割が格段に強まったにもかかわらず、党の運営、マネイジメントの改善は手つかずでした。今申し上げた点を含め、党の運営を近代化するため、党に「自民党版ガバナンス・コード検討委員会」を設け、外部の意見も聞きながら、自民党改革を徹底的に進めます。具体策を提示している私にしか、改革は断行できません!

3つの約束

総裁選にあたっての3つの約束・3つの政策についてお話させて頂きます。私は、民主主義を守り抜くために、国民の皆様に、3つの約束をします。

第1に、「国民の声」を丁寧に伺います。私自身が、現場に足を運び、国民の皆様の声を聞き、政策に反映します。

第2に、個性と多様性を尊重する社会を目指します。若者も高齢者も、障害のある方も、そして「女性活躍」を進め性別に関わらず、全ての人が、居場所を見つけて、生きがいを感じられる社会を目指します。

第3に、みんなで助け合う社会を目指します。コロナ禍を通じて、我々は改めて、家族や仲間との絆の大切さに気づきました。もちろん、自助の精神は大切です。しかし、人は、一人では生きられません。デジタル化が進む現代だからこそ、もう一度、人の温かさ・繋がりが感じられる社会を目指します。

3つの政策

政策面でも、「国民の生活を守り、国民の所得を増やす3つの政策」をお約束します。

第1にコロナ対策です。コロナとの闘いには、国民の皆様の協力が不可欠です。そのためには、政府方針への国民の納得感が不可欠です。私は、方針の内容・必要性・決定に至ったプロセスについて、自ら丁寧に説明します。また、危機管理の要諦は、最悪の事態の想定です。「多分よくなるだろう」では、コロナに打ち克つことはできません。常に最悪の事態に備えながら、対策を講じます。

そして、我々の当面の目標は、ウィズコロナを前提に、季節性インフルエンザと同様、従来の医療提供体制の中で対応可能なものとし、通常に近い経済社会活動を一日も早く取り戻すことです。

病床・医療人材の確保、徹底した人流抑制とそのための数十兆円規模の経済対策、ワクチン接種促進、治療薬の開発・普及などの対策を全体感を持って実行します。特に経済対策については、非正規・女性・子育て世帯・学生などコロナでお困りの皆様、自粛にご協力頂いている事業者の方、米価の急落に悩む農家の方などに、きめ細やかに対応します。

その上で、感染症の時代を迎えた今、将来の感染症危機発生に備えた法改正、そして司令塔機能を持つ「健康危機管理庁」の設置に取組みます。

第2に、新しい資本主義の構築です。新自由主義的政策を転換します。市場や民間に、任せればいいという時代は終わりました。国と民間が協働して、産業を興し・守り、国民生活を豊かにする、そうした経済が求められています。

新自由主義的政策は成長をもたらしましたが、富める者と富まざる者の分断が生じています。また、コロナにより格差は拡大しています。今こそ「成長と分配」の好循環による「新しい日本型の資本主義」を構築し、全国津々浦々、全ての皆さんに成長の果実を実感して頂くときです。

先ず、成長については、頑張る民間企業の挑戦・投資を大胆に支援します。産学官連携による科学技術&イノベーションを政策の中心に据えます。そして、科学技術が生み出したシーズが海外ではなく我が国で産業化できるよう、スタートアップの徹底支援などを通じて、新たなビジネスや産業創出につなげます。

分配については、先ず、民間における分配を強化します。最近の日本企業を見ていると、利益が出ても、賃上げを十分に行わず、配当を増やすなど短期的な利益を追求しています。企業が長期的視点にたち、株主のみならず多くの関係者を大事にする「3方良し」の経営を行うことが出来るよう、四半期開示の見直しなど、基本的なルールの見直しを検討します。

こうした民間における取組みを補完するのが、公的な分配です。中間層の拡大に向け、分配機能を強化し、所得を引き上げる「令和版所得倍増」を目指します。例えば、子育て世帯にとって大きな負担となっている住居費、教育費への支援を強化します。

民間に賃上げを求める以上、国自身も努力しなければなりません。賃金が公的に決まる看護士・保育士・介護士等について、公的価格を見直し、収入を思い切って引上げます。

更に、成長の果実を、地方に大胆に分配します。新しい資本主義の象徴は地方です。5Gなどのデジタルインフラの整備を進め、都市と地方の物理的距離を乗り越える「デジタル田園都市国家構想」を実現します。また、田園都市国家を支え、国際競争力を維持する交通・物流などのインフラを整備するとともに、「災害に強い地域づくり」を進めます。そして、地域に寄り添い、現場を重視した「多様な豊かさを持つ農業・農村」を実現します。多面的機能の維持や食料安全保障の観点から、「中小・家族農業」や「中山間地農業」の支援を強化するとともに、米をはじめ国産農畜産物の需給・価格の安定など、農業者の所得向上に向けて政策を総動員して参ります。

第3に国民を守り抜く外交・安全保障です。世界の平和と我が国の安全を断固守り抜いていく。そのために、3つの覚悟を持って臨みます。まず、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を守り抜く覚悟です。権威主義的体制が勢いを増す中、台湾海峡などの課題に、米国や欧州、インド、豪州、台湾など、基本的価値を共有する国・地域とともに毅然と対応します。

次に、我が国の領土・領海・領空を断固守り抜く覚悟です。海上保安庁の能力強化、自衛隊との連携強化、ミサイル防衛力の強化、国家安全保障戦略の改定、インテリジェンス機能の充実などに全力で取組みます。

そして、地球規模課題において世界を主導し人類に貢献する覚悟です。地球温暖化問題、核軍縮・不拡散、宇宙・海洋の開発・利用などの課題で、リーダーシップを発揮します。

以上、

  • 国民の皆様にご協力頂き、コロナに打ち勝つ。
  • 格差の解消に目を向け、新しい日本主義を実現することで、全ての皆様に幸せを実感頂く。
  • 毅然とした外交安全保障で、国民の命と暮らしを守る。

といった3つの政策を通じて、国民が一体感を実現できる社会を実現します。

この総裁選を勝ち抜いた先には、衆議院選挙、来夏には参議院選挙があります。安定した政治、寛容で丁寧な政治を実現することで、この2つの選挙に勝利し、国民の付託に応えていこうではありませんか。以上申し上げて、出馬表明といたします。ありがとうございました。

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