宏池会研修会2019
我々宏池会は、一昨年は設立60周年の節目を迎え60年の歴史を振り返りました。昨年は61年目、新しい時代に向けて、思いを新たにいたしました。そして今年は令和の時代初めての宏池会研修会ということで、この宏池会のメンバー一同が、気持ちも新たに、思いを1つに、新しい時代に立ち向かっていきたいと思います。
令和の時代はどんな時代が来るのでしょうか。色々なことが言われ続けています。少子高齢化、人口減少、人生100年時代、技術革新・イノベーション、様々な変化が言われていますが、昨年の自民党政調会においては「未来戦略研究会」という研究会を立ち上げて、多くの有識者の皆さんにもご参加いただいて、2050年の日本においてはどんな国家像を目指すべきなのかという議論を行いました。そして「ポスト平成時代の『船中八策』」というサブタイトルをつけました報告書をまとめました。
その中で、2050年私達の国が目指す社会や国家像について、例えば、格差のない、横につながる、共感によってつながっていくフラットな社会を目指すべきではないかとか、あるいは技術革新によって、効率性を高め、生産性を高め、幸せな社会を作っていき、そして地球規模の課題に挑戦し、持続可能な社会を作っていくべきだとか、あるいは自由や民主主義や人権といった理念を大事にして、平和に貢献する国家でなければならないとか、こういった国家像を目指すべきだという報告書をまとめました。
私も2050年の未来に向けて、こういった社会や国を目指すべきだと思っており、こういった国を目指すとしたらならば、私達は宏池会の先輩方が大事にしてきた、そして私達自身が大事にしてきた、理念とか考え方がより大事になっていく、新しい時代は宏池会が大事にしてきた理念や考え方がより大事にされ、そして活かされる時代でなければならないということを強く感じています。
格差のない社会を目指していく、横のつながりを大事にする社会を目指すとしたならば、宏池会が大事にしてきた自立した個人とか、あるいは個性や多様性、こういったものが大事にされなければいけない。こういったことなのだと思いますし、持続可能な社会を目指すとしたならば、対処療法ではなくして、所得倍増論のような、大きな、中長期的な政策をしっかりと示していかなければいけない。こういったことなのだというふうに思いますし、また、この自由や民主主義、人権を大事にしながら、平和な国際社会を目指していく。こうした理念はもちろん大事ですが、それを現実なものにするためには、しっかりとした努力が求められる。かつて宏池会が冷戦時代にあっても、日米安保ですとか、あるいは軽武装・経済重視といった現実的な、したたかな外交を展開することによって、平和という結果を現実のものにすることができた。こういった取り組みも、新しい時代にしっかりと活かしていかなければいけないのではないか。こんなことも思います。
何よりも新しい時代においては、政治の信頼が何よりも重要になってきます。かつて宏池会は、「権力というものが大変恐ろしいものであるからして、権力には謙虚でなければならない、権力には謙虚に向き合わなければならない」といった基本的な姿勢、「寛容と忍耐」や「信頼と合意」など、歴代宏池会内閣のキャッチフレーズの中に示してきたわけで、こういった政治の姿勢も、新しい時代において大切にされなければいけないと考えます。新しい時代こそ我々宏池会がしっかり担って、時代を押し進めていかなければならないと、めて感じています。令和の時代ま最初の宏池会研修会にあたりまして、ぜひこういった思いを宏池会のメンバーで共有し、共に努力していきたいものだと思います。