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活動報告

令和4年3月3日 岸田内閣総理大臣記者会見

【冒頭発言】

本日は、ロシアによるウクライナ侵略、原油高、新型コロナなど、直面する内外の主要課題への対応について、御説明をいたします。

まず、ロシアによるウクライナ侵略についてです。

ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む、国際秩序の根幹を揺るがす行為です。明白な国際法違反の暴挙であり、改めて厳しく非難をいたします。

今回のような力による一方的な現状変更を決して許すことはできません。国際秩序の根幹であるこの原則を守り抜くことは、東アジアの安全保障環境が急速に厳しさを増す中、我が国の今後の外交・安全保障の観点からも極めて重要です。我が国は、国際社会と結束して、毅然(きぜん)と行動してまいります。

ロシアの核抑止力部隊が警戒態勢を引き上げたことは言語道断です。唯一の戦争被爆国であり、また、被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器による威嚇も、ましてや、使用も、万が一にも許されるものではないことを、首脳外交や、国際会議の場で、強く訴えているところです。

我が国は、主権と領土、そして祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民と共にあります。国難に直面するウクライナの皆さんを支えるため、ポーランドなど周辺国に避難された方々や子供への支援を含め、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)やUNICEF(国連児童基金)などの国際機関と協力し、1億ドルの緊急人道支援を行っていきます。

ウクライナの人々との連帯を更に示すべく、ウクライナからポーランドなど第三国に避難された方々の我が国への受入れも進めてまいります。

我が国は、G7各国、国際社会と共にロシアに対して強い制裁措置を採っていきます。その観点から、プーチン大統領を含むロシア関係者等の資産凍結に加え、本日、ロシアの財閥であるオリガルヒなどの資産凍結についても決定いたしました。

金融面では、欧米と共にロシアを国際金融システムや世界経済から隔離するため、ロシア中央銀行との取引を制限する措置に加え、本日、SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの7つの銀行を排除するために必要な国内措置を採りました。あわせて、国際合意リスト品目や半導体など、汎用品の輸出管理強化といった制裁も講じています。

さらに、今回の侵略に対するベラルーシの明白な関与に鑑み、ルカシェンコ大統領を始めとする個人、団体への制裁措置や、輸出管理措置など、ベラルーシに対する制裁も本日決定をいたしました。

邦人保護に全力を尽くしてまいります。私自身、昨日、ポーランドのモラヴィエツキ首相との電話会談で、ウクライナ在留邦人のポーランドへの円滑な入国等に協力を要請し、先方からは、最大限の支援を提供する旨、発言がありました。ポーランドから他の国へ移動するためのチャーター機も手配済みです。引き続きウクライナのリヴィウ市及びウクライナ国境に近いポーランドのジェシュフ市に開設した臨時連絡事務所を中心に、在留邦人の安全確保や出国支援に取り組んでいきます。

私自身、首脳外交を積極的に展開していきます。今週もウクライナ、フランス、ドイツ、ポーランド、ラオスの首脳と電話会談を行い、バイデン大統領主催のG7、NATO(北大西洋条約機構)などとの首脳電話会議にも出席をいたしました。この後、23時からは、日米豪印の首脳テレビ会議に出席し、ウクライナ情勢への対応について意見交換を行う予定です。

情勢は日々変化しています。制裁などでは、G7各国との緊密な連携を図りつつ、アジア各国に働き掛けるなど、我が国として事態打開に向けた貢献をしていきます。

今回の事態を受けて原油価格が高騰を続けています。原油価格の代表的な指標であるWTIの原油先物価格は、先週末に1バレル91ドル台でしたが、今朝の時点で1バレル110ドルまで急騰しています。この事態に対し、国民生活や企業活動への悪影響を最小化する観点から、緊急対策を取りまとめ、明日、公表いたします。一般予備費を3600億円強活用し、今、お困りの方に対して迅速に支援が行き届くよう対応していきます。

まず、当面の間の緊急避難的措置として、燃油価格の激変を緩和するために行っている支援を大幅に拡充・強化いたします。現在、5円を上限として激変緩和事業を行い、燃油価格の上昇を抑制していますが、ウクライナ情勢の緊迫化を踏まえ、支給上限を最大25円に大幅拡充し、直近の小売価格からの上昇分を補助することで急激な石油製品の価格上昇を抑制いたします。

加えて、漁業や施設園芸に対する重油価格高騰分の補?を拡充するほか、タクシー事業者に対するLP(液化石油)ガス価格高騰分の補?を激変緩和事業並みに大胆に行うとともに、地方自治体を通じ、灯油購入支援や暖房費支援など、国民生活への影響を緩和するための支援を行います。

さらに、ウクライナ情勢、原油価格上昇の影響を受けている中小企業の資金繰りに万全を期すため、全国1,000か所に融資の特別相談窓口を設け、低利融資により支援していきます。

詳細は明日、関係閣僚会合を開催して決定した後、官房長官から発表いたします。

また、ウクライナ情勢の進捗も踏まえつつ、来年度も引き続き原油価格が上昇し続ける場合については、国民生活や企業活動への悪影響を最小限に抑えることができるよう、何が実効的で有効な措置かという観点から、あらゆる選択肢を排除することなく、政府全体でしっかりと検討し、対応してまいります。

エネルギー問題は1国だけでは対応できない、国際的な課題です。IEA(国際エネルギー機関)を始めとする国際機関や、主要消費国であるG7各国と連携しながら、エネルギー市場の安定化やエネルギー供給構造の在り方、エネルギー資源の偏在などの課題に取り組みます。

私たちは、ロシアのウクライナ侵略という極めて深刻な事態に直面をしています。エネルギー価格高騰による我が国経済への悪影響を少しでも減らすべく、これまで以上の省エネに取り組み、石油やガスの使用を少しでも減らす努力をしていただくことが大切です。国民の皆さんお一人お一人の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

次に、新型コロナ対応についてです。

まず、新型コロナに感染し、苦しんでおられる方にお見舞いを申し上げるとともに、この感染症によりお亡くなりになった方に心から哀悼の意を表したいと思います。

全国的な感染状況については、感染者数の今週先週比が19日連続で1を下回っており、改善傾向が更に確かなものとなっています。他方で、地域によっては感染拡大に後れて重症者が増加したり、クラスターが発生したことなどにより、病床利用率がなお高い水準にある都道府県があります。引き続き、先々週申し上げたとおり、コロナ対策の基本姿勢、慎重さを堅持し、強化した地域医療体制を稼働させながら、同時に、第6波の出口に向かって徐々に歩みを進めてまいります。

3点申し上げたいと思います。

第1に、3月6日に期限を迎える31の都道府県のまん延防止等重点措置については、福島県、新潟県、長野県、三重県、和歌山県、岡山県、広島県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、この13県において、延長を行わず、同措置を6日をもって解除することといたします。

一方で、残りの18都道府県においては、連休最終日の21日まで約2週間、まん延防止等重点措置を延長いたします。これらの都道府県においては、オミクロン株の新規感染拡大は落ち着きつつあるものの、病床使用率が引き続き高い水準にあることなどから、自治体の御意見も伺いながら、慎重な判断を行うことといたしました。

以上について、明日、専門家に諮問し、国会に報告の上、正式に決定いたします。今後、第6波の出口がよりはっきり見えてくれば、経済社会活動の回復に向けて更なる取組を進めてまいります。他方で、既存のオミクロン株がBA.2に置き換わることなどにより、再度感染状況が悪化する可能性にも十分に注意をし、悪化の兆しがあった場合には、対応を見直していきます。

第2に、ワクチン接種については、自治体、自衛隊、医療関係者を始めとする皆様の御協力によって、2月中旬に100万回の接種を実現し、接種ペースが上がってきました。既に、6000万人以上の方々に接種券をお送りし、市町村や職場で接種を受け付けています。引き続き一日も早く希望する方にできるだけ多く接種を受けていただけるよう、全力を尽くしていきます。

第3に、水際対策については、3月1日から骨格を緩和し、観光目的以外の外国人の受入れを再開しました。2月25日から外国人の受入れ申請の受付を開始し、既に16万人を超える入国申請を受け付けています。年度末は、進学や転勤などにより、日本人の帰国需要が高まります。この点を勘案し、3月14日より、入国者総数の上限を5,000人から7,000人に引き上げます。

今後、内外の感染状況を見ながら、段階的に国際的な人の往来を増やしていきます。多くの留学生が、4月の新学期を迎え、希望どおり入国できるかどうか、不安に感じておられます。新型コロナにより、この2年間、15万人の留学生が来日を心待ちにしている状況です。我が国の宝とも言える留学生が、国民の安心を保ちつつ円滑に入国できるよう、「留学生円滑入国スキーム」を設け、ビジネス客が比較的少ない平日を中心に、空席を活用して、優先的に入国できるよう支援をいたします。

これから、年度末や新年度を迎えると、卒業式や春休み、入学式、さらには花見など、多くの人が集まる行事が行われるとともに、就職や進学を機会に移動が多くなる季節となります。これまでこのような機会をきっかけに感染が拡大したことから、感染リスクの高い行動を控え、改めて、マスクの着用、手洗い、3密の回避や換気などの基本的感染防止策の徹底を心掛けていただきますようお願いをいたします。

最後に、「中小企業活性化パッケージ」について申し上げます。感染拡大が続く中、年度をまたいだ中小企業の事業継続と新型コロナ後を見据えた事業復活に向けた果敢な挑戦を支援するための「活性化パッケージ」を取りまとめ、展開いたします。

パッケージの1つ目は、資金繰り支援です。融資の条件変更への対応について、担当閣僚から金融機関に要請するなど、年度末の資金需要に対応いたします。加えて、年度をまたいだ事業継続を支援するため、年度末を期限とした実質無利子・無担保での融資を6月末まで延長するとともに、事業者の返済負担を軽減するため、15年の融資期間を20年に延長いたします。あわせて、事業者の財務基盤を強化するため、資本性劣後ローンによる支援についても来年度末まで延長いたします。

パッケージの2つ目は、増大する債務に苦しむ中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援です。まず、金融機関や税理士など、全国3万以上の認定支援機関の総力を結集することで、中小企業の収益力改善のための伴走支援を徹底いたします。その上で、必要な場合には、金融機関の協力の下で、債務カットなどを行いつつ、収益力の改善の取組が円滑に進むよう、「中小企業の事業再生等のガイドライン」を策定し、経営者の退任を原則としない形での事業再生を推進いたします。全国47都道府県において、収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援するための体制を整備し、地域全体で苦しむ中小企業の支援に取り組んでいきます。詳細は、明日、萩生田経済産業大臣から発表をいたします。

国の内外で、世界を、日本を、経済を、そして私たちの暮らしを大きく変える歴史的な出来事が続いています。大きな流れをしっかりと見据えながら、国民にとってのベストな政策を、前例にこだわらず、機動的に講じていく。現場の声を丁寧にお伺いしながら、こうした岸田内閣の姿勢をしっかりと保ってまいります。

国民の皆さんの御理解と御協力を心からお願いを申し上げます。

 

【質疑応答】

(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問を頂きます。指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問、御質問をお願いいたします。まず、幹事社から御質問を頂きます。それでは、日本経済新聞の秋山さん、どうぞ。

(記者)
日本経済新聞の秋山です。よろしくお願いします。新型コロナウイルスについてお伺いします。全国的に感染減少のペースが緩やかになっています。あと、まん延防止等重点措置を延長する都市部を中心に病床使用率はなお高い状況になっています。この原因と対策について、どのように考えますか。また、延長するまん延防止等重点措置の解除時期、21日までを期限とおっしゃいましたが、この21日に解除できるのか、この見通しについて、お願いいたします。

(岸田総理)
まず、オミクロン株への対応については、その特性も踏まえながら、強い行動制限を伴う緊急事態宣言を発出することなく、社会経済活動の維持とバランスを取りながら感染拡大防止に取り組んできたところです。その中で、やはり最も重要なことは国民の命を守ることであり、入院医療体制や安心できる在宅療養体制の確保に重点を置いて対策を進めてきました。ピーク時においても重症病床には十分余力があったと考えています。現在、多くの地域で新規感染者の数は減少が続いています。ただし、地域によってはなお感染拡大に後れて重症者が増加したことなどにより、病床使用率が依然高い水準にある都道府県があり、こうした地域については、慎重を期して措置を延長したということです。

今般、この重点措置を延長した地域においては、引き続き自治体との連携の下に、拡充した医療体制を確実に稼働させつつ、オミクロン株の特性を踏まえた、学校ですとか高齢者施設等における感染防止対策の強化、高齢者施設や後方支援病院での医療体制の強化、さらには軽症の自宅療養者への対応強化、こういったことを徹底することによって、感染者数と、そして入院率、この両方を下げていきたいと思っています。

そしてその上で、解除の見通しについて御質問いただきましたが、措置の終了に当たっては病床使用率、そして重症病床使用率、また自宅療養者数、また療養等調整中の方、こうした点の動向、動きに重点を置いて、専門家の意見も聞きながら、総合的に判断するというのが基本的な考え方です。こういった点を今回延長した地域の解除については念頭に置きながら考えていきたいと思っています。以上です。

(内閣広報官)
続きまして、テレビ東京、篠原さん、お願いします。

(記者)
幹事社のテレビ東京、篠原です。よろしくお願いします。ウクライナ情勢に関連してお聞きします。アメリカのバイデン大統領は一般教書演説で、ロシアの航空機に対して領空を閉鎖すると昨日表明しました。岸田総理はロシア航空機に対するこの領空閉鎖というのは、日本の追加制裁としても選択肢たり得ると考えていますでしょうか。今後の推移次第では、他の項目も含めてロシアへの追加制裁を検討する考えがあるのかも含めてお答えをお願いします。

(岸田総理)
御指摘のロシア国籍の航空機の領空内飛行を禁止する措置を始めとする追加の措置については、我が国としては引き続き今後の状況をしっかり踏まえた上で、G7あるいは国際社会との連携を念頭に置きながら、状況に適切に対応していかなければならないと思います。今後の状況をしっかり把握した上で、我が国の対応についても機動的に判断していく、こうした方針で動向を注視していきたいと思っています。今、御指摘の点についても、その中で考えていくべき課題であると思っています。

(内閣広報官)
ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名いたしますので、マイクにお進みください。なるべく多くの方に御質問いただくためにも、質問は1問ずつ簡潔にお願いいたします。それでは、朝日新聞、池尻さん。

(記者)
朝日新聞の池尻です。よろしくお願いします。先ほども発表のありました原油高騰の対策なのですけれども、ウクライナ情勢もあって、原油価格高騰というのは今後も続くと思われます。こうした中、当初、緊急避難的な激変緩和措置として対策を採ってきましたけれども、今後これをいつまで続ける見通しがあるのか、出口戦略は何かお考えがあるのか、改めて教えてください。

(岸田総理)
原油価格高騰については、今までも高騰が生活や経済に影響を与えるということで対応してきました。激変緩和措置を先ほども申し上げたような形で用意をし、あわせて業種やこの業界ごとの対策ですとか、あるいは地方の事情に配慮した自治体の支援ですとか、こうしたものを重層的に用意して対策を講じてきましたが、今、ウクライナ情勢の変化等を受けてエネルギー価格の高騰が心配されているときでありますので、今、申し上げた中で、激変緩和措置について大幅に拡充・強化するという形で当面対応していきたいと思っています。

そして、先の見通しということですが、これはウクライナ情勢等、先の見通し、これはなかなか断定的に申し上げることは難しい、これは当然ではないかと思っています。よって、今後更に原油価格が上昇し続けた場合の対応については、何が実効的で何が有効なのか、こういった観点から、あらゆる選択肢を排除することなく政府全体でしっかり検討し、追加の対策についても準備しておくという方針で臨んでいきたいと思います。今後の変化にも対応できるような準備は政府としても考えていきたいと思います。ただ、当面は先ほども申し上げました激変緩和措置の拡充・強化、これを明日にも具体的に明らかにいたしますので、これをしっかり実行し、そして、その効果を判断することが大事であると思っています。

(内閣広報官)
それでは、次の方、日本テレビ、山崎さん。

(記者)
日本テレビの山崎です。よろしくお願いします。ロシアによる軍事侵略を受けて、ロシアのサハリンの資源事業から欧米企業が撤退を表明しています。この中のサハリン1には日本政府も出資していますが、今後政府としてどのように対応していくのか、総理のお考えをお聞かせください。

(岸田総理)
我が国は、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、国際的なロシア制裁強化の動きの中でG7や国際社会と連携しながら取り組んでいるわけですが、エネルギーの安定供給と、それから安全保障、これを最大限守るべき国益の一つとして対応していかなければならないと思っています。よって、御指摘の点についても、エネルギーの安定供給あるいは安全保障の観点から、我が国としてどう対応するのか、これは、状況をしっかり判断した上で決定すべきことであると思っています。今は、様々な動きが昨日来報じられていますが、その状況をしっかり把握した上で、我が国としての方針は決定していきたいと思っています。今はまだその段階です。

(内閣広報官)
では、次は東京新聞、生島さん。

(記者)
東京新聞の生島といいます。よろしくお願いします。まん延防止等重点措置の関係でお伺いします。先ほど総理は重症病床にピーク時でも余力があるというお話がありましたが、今回のオミクロンの流行では、重症化に至らずに基礎疾患を抱えている方、高齢者の方を中心にお亡くなりになるケースが人数も割合も非常に多くなっています。政府の分科会の尾身会長などは、今回、感染が高止まりしている要因として、3回目のワクチン接種の遅れというのも要因の一つに挙げていらっしゃるわけですが、計画どおりに高齢者の接種が進んでいないこと、また、高齢者を中心に多くの方がお亡くなりになっていることの政治的な責任というのを、総理はどのようにお考えでしょうか。

(岸田総理)
まず、お亡くなりになっている方の中には、基礎的疾患をお持ちであり、オミクロン株、コロナの重症の症状を示す前にお亡くなりになっておられる方もおられるということで、様々なケースがあります。しかし、いずれにせよ、お亡くなりになられたということは、政治として、政府として、これは重く受け止めなければならない。政治は結果責任ですから、そうした結果になってしまったことについては、おわびを申し上げなければいけないと思っています。

しかし、政府としては、全体の感染拡大防止策、これをしっかり用意する、これが政府にとって最も大事な役割であると思っています。そういった観点からワクチンによる予防と、検査による発見、そして経口治療薬等による早期治療、こういった体制を作ってきた。そしてその大前提として病床の確保に努めてきた。こういったことです。

そして御指摘のように、ワクチンの接種が遅れたのではないか、こういった指摘、これについても、我々の今までの取組、しっかりと振り返りながら、しっかり説明をしていかなければならないと思っています。ワクチンの接種については、我が国において去年の10月、11月まで1回目、2回目の接種を行ってきた。その後、2回目の接種から一定の期間、間隔を空けなければいけないという条件の中で、昨年の11月に薬事承認を3回目のワクチンについて行い、12月から接種を開始した。そしてその後、接種間隔を短くするべく努力をしてきた。こうしたことであります。

結果として、今現在、ワクチン接種対象者の方々、2月末で3700万人でありましたが、そういった方々に十分なワクチンの量は全国にしっかり配布をいたしました。そして、それを接種する体制についても、全国の自治体等に御協力を頂き、また、大型接種会場あるいは職域接種会場、こういったものを用意して、接種する体制も作りました。そしてワクチンの接種券についても、6000万人分の接種券をお送りいたしました。このようにワクチンの量は確保し、そして打てる体制も用意した。そしてワクチンの接種券もお送りした。あとはできるだけ多くの方々に接種に足を運んでもらう。このために有効性や安全性についてしっかり説明をする努力もしていかなければならないと思います。

このように量を確保し、体制を用意し、できるだけ多くの方々に接種会場に足を運んでもらう。そもそも3回目の接種というのは、全世界において、今、取組が進められていますが、なかなか接種回数が積み上がらない、こういった事情もあるようです。3回目の接種については、日本より先行していた国々においても、アメリカでもまだ接種の率は3割行っていないという状況です。イギリス、フランス、ドイツも接種の割合は5割前後という状況であります。各国とも3回目の接種については、接種の数を拡大する上で苦戦しているようですが、日本としても、今申し上げましたように量と体制と接種券、これは政府としてしっかり用意しましたので、できるだけ多くの方々に御理解と御協力をいただけるよう努力を続けていきたいと思っています。

(内閣広報官)
それでは、その次、では、ラジオ・フランスの西村さん。

(記者)
ラジオ・フランスとリベラシオン新聞のニシムラと申します。ウクライナの情勢と報道の自由について質問させていただきます。現在、日本政府は、ウクライナに対して危険情報レベル4を発出しています。どのような目的であれ、ウクライナへの渡航をやめてくださいという意味です。報道の目的も含まれていると思いますが、したがって、現地の取材ができない日本のマスコミは海外の報道陣に頼ってしまいます。報道の自由の観点からも、日本人向けの報道の独立性の観点からも、望ましくない状況だと思われますが、その点について、岸田総理の御意見を聞かせてください。

(岸田総理)
まず、報道の自由、これは大変重要なテーマであると私も認識をいたします。現在、外務省はウクライナ全土に退避勧告を発出しており、報道の関係者も含め、これは目的のいかんを問わず、同国への渡航をやめていただきたいというお願いをしています。報道の自由はもちろん大事ですが、他の目的も含めて渡航をおやめいただきたいというお願いをしている、これが現状であります。

ウクライナにおいては、皆さんもよく御存じのように、今なお激しい戦闘が各地で続いています。大変な命の危険の中にあります。こうした緊迫した状況でありますので、政府のこうした取組についても、是非御理解と、そして御協力をお願いしたいというのが、この問題に対する政府の考え方ということです。是非御理解をいただきたいと思います。

(内閣広報官)
NHKの長谷川さん。

(記者)
NHKの長谷川です。よろしくお願いします。ウクライナ情勢に関連してお伺いします。ロシアによる軍事侵攻や制裁措置で、原油だけでなく穀物価格の上昇も懸念されています。政府として、原油価格だけではなくて穀物を含めた幅広い対策を検討されるお考えはありますでしょうか。

(岸田総理)
おっしゃるとおり、原油だけではなく、幅広い物価高騰に備えなければいけない。国民生活や事業や経済を守らなければいけない。これは御指摘のとおりだと思います。穀物についても、ロシアやあるいはウクライナ、これは穀物の大産出国でありますので、日本に直接の輸入はありませんが、穀物市場全体に対する影響ということを考えますと、間違いなく日本にも影響が来るということなのだと思います。様々な原材料について、特に輸入に依存するものについては、様々な対策を考えていかなければいけない。物によって様々ですが、調達先の多様化ですとか、様々な取組が求められると思います。こうした状況を丁寧に把握することに努め、影響が出ないように政府として考えていかなければなりません。是非、各担当大臣にそれぞれの分野で、今指摘がされたような価格高騰においてどんな影響が想定され得るのか、それについてどんな対応が考えられるのか、それを検討するように指示をしたいと思います。

(内閣広報官)
それでは、次に、毎日の小山さん。

(記者)
毎日新聞の小山です。ロシアへの制裁について伺います。日本が実施している制裁は、欧米の制裁に比べるとどうしても半歩遅いような印象を受けます。例えばSWIFTの最初の声明では日本が入っていなくてG6が入っていました。それはなぜかというのと、アジアの国際秩序を守るということを考えると、日本も主導したほうがあるべきメッセージになるのではないかと思います。いかがでしょうか。

(岸田総理)
まず、遅いのではないかという指摘は当たらないと思っています。SWIFTについても、先に大西洋諸国という枠組で声明が発出されたということであり、日本にも参加をお願いしたいという要望を受けて、その日のうちに対応しているわけですので、日本が半歩遅れているということは、今言った経緯から考えても、指摘は当たらないと思っています。

そして、日本が主導するべきではないか。基本的にはG7や国際社会との連携、共に非難の声を形にする、これが重要だとは思いますが、おっしゃるように、各国とも対応は、よく見ていくとそれぞれ様々であります。各国の国益ですとか事情に応じていろいろな違いを見てとることができます。是非日本も、アジアにおける日本の立場としてどうあるべきなのか、制裁措置の細部においては日本もしっかりと考えていかなければいけない、主導しなければいけない部分はあるのだと思っています。そういった姿勢で臨んでいきたいと思います。以上です。

(内閣広報官)
では、ジャパンタイムズ、高原さん。

(記者)
ジャパンタイムズの高原と申します。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ドイツは防衛予算をGDP(国内総生産)比で2パーセントに増額することを表明しました。このような動きが日本の防衛予算や国家安全保障戦略の見直しにどのような影響を与えるか、総理の考えをお聞かせください。

(岸田総理)
まず、今回のロシアのウクライナ侵略のような力による現状変更を、インド太平洋、とりわけアジア、東アジアにおいて許してはならないということを改めて強く感じています。我が国を取り巻く安全保障環境、これは急速に厳しさを増しているとも感じています。今回のウクライナ侵略も踏まえて、新たな国家安全保障戦略等を策定するということになるわけですが、その中で日本の国民の命や暮らしを守るために具体的に何が求められるのか、これをしっかりと議論しなければなりません。そして、結果として防衛力を抜本的に強化していく、こうしたことを考えていかなければならないと思っています。

是非こういった姿勢で国家安全保障戦略を始めとする安全保障に関する文書の新たな策定について、しっかりと議論を深め、体制を整えていきたいと考えています。

(内閣広報官)
次の方。それでは、ブゼットさん。

(記者)
ジャパンフォワード推進機構のブゼット・アリエルと申します。よろしくお願いします。先ほど50万人の人が入国を待っているというお話があったと思いますが、その件について、全員が入国できるまでどの見通しをお考えでしょうか。また、観光の入国はいつ頃でお考えでしょうか。その2点、お願いいたします。

(岸田総理)
ちょっとその50万人という数字があれなんだけれども、基本的な質問の趣旨は分かりました。それで、令和2年と令和3年の在留資格認定証明書を交付した人のうち、未入国の方、これはまだ約40万人おられると承知をしています。このうち現在も入国を希望されている方がどの程度おられるのか、これは明らかではありませんので、希望される方々の要望に十分応えるためにどれぐらいかかるか、この見通しを一概に答えることは難しいと思いますが、今言った数字等も念頭に置きながら、入国について考えていかなければいけない。今回の取組も言ってみるならば第2弾ということであり、今後とも段階的にこの水際対策は緩和していかなければならないと思っています。段階的に往来を増やしていく中で、入国を希望される方、外国人の方にも入国をしていただけるような体制を徐々に作っていきたいと思います。

いずれにせよ、内外の感染状況ですとか、各国の水際対策の状況ですとか、それから防疫等、事務的な体制ですとか、そういったことを考えながら、段階的にできるだけ多くの方に入ってもらえるような体制を作っていきたいと考えています。

(内閣広報官)
では、その次に読売新聞の宮井さん。

(記者)
読売新聞の宮井です。留学生の受入れなのですけれども、先ほど1日当たりの入国者の上限数を7,000人に拡大するという発表もありましたけれども、新しいスキームというのは7,000人の中で優先的に留学生を受け入れるというのか、それとも7,000という枠にはこだわらないで、航空機の予約の空きなどがあればどんどん受け入れていくということなのか、教えていただけますか。

(岸田総理)
詳しくはまた事務的に説明はあると思いますが、基本的に毎日7,000人という上限の中で、各航空会社のそれぞれのフライトの中で一定数、1日の全体の数字を念頭にそれぞれのフライト1便につき何人という枠で運航していると承知していますが、平日においては空席が大変大きいという実情があると聞いています。よって、月曜から木曜、平日を中心に、その空いている部分を活用して留学生の方に入国してもらおうということを考えた、これが今回のスキームの基本的な考え方です。

ですから、結果として7,000ですが、平日に限って言うならば、その7,000の枠に対して、1日当たり1,000人程度の上乗せという結果になるということを想定しているというのがスキームのありようであります。そういった形で、できるだけ空席を活用する形で、留学生の方により多く日本に入ってきてもらおう、これがスキームの基本的な考え方です。以上です。

(内閣広報官)
では、次にテレビ朝日の原さん。

(記者)
テレビ朝日の原です。台湾有事への備えについてお伺いしたいと思います。ロシアのウクライナ侵攻に関連しまして、もし仮に中国が台湾に侵攻した場合、日本は本当に大丈夫なのかという心配が広がっています。総理は去年、体制整備、法整備の必要性についても言及されていますけれども、様々な面において日本の備えというのは万全なのでしょうか。もし仮に足りないことがあるとすれば、具体的にどういった点でどのように改善していくお考えでしょうか。

(岸田総理)
当然のことながら、日本の安全保障については日々状況を把握し、そして政府としても国民の命や暮らしを守るために十分なのかどうかという点検をしてきています。よって、今の体制、日本の我が国の安全保障体制、そして日米同盟による抑止力、こうしたものによって国民の命や暮らしをしっかり守っていく、こうした覚悟は政府としてしっかり持っているということであります。

ただ、ミサイル技術を始めとする様々な状況は絶えず変化しておりますので、絶えずこれは検証していかなければならない。よって、この実情をしっかり検証した上で、こうした技術の進歩にも十分対応しているかどうか、これを国家安全保障戦略を始めとする文書の見直しの中でしっかり検証していくことが重要だということを申し上げています。

このように、今後も引き続き事態の変化に対応し、そして国民の命や暮らしを守るために絶えず努力を続けていかなければいけない、これが政府の立場ではないかと考えています。以上です。

(内閣広報官)
ドワンゴ、七尾さん。

(記者)
連日お疲れさまです。ありがとうございます。ドワンゴニコニコ動画の七尾です。今の質問に関連しまして、岸田総理は常日頃から最悪の事態を想定とおっしゃっております。ロシアの核使用のリスクが高まっている中にあって、日本にとって最悪の事態は何だとお考えでしょうか。こうした中でも非核三原則を堅持することによって、国民の命を守れるのか、教えてください。

(岸田総理)
今後の状況の変化について、予断を持って申し上げることは難しいとは思いますが、我が国は自らの防衛力と、そして日米同盟による抑止力、これによって国民の命と暮らしを守っています。領土・領海・領空を守っています。是非、この体制をしっかり稼働することによって、命や暮らしをしっかり守っていきたいと思っています。

非核三原則について、これを守りながらも国民の命や暮らしを守れるのかという御質問ですが、これは、我が国は従来から、今申し上げた自らの防衛力と、そして日米同盟の抑止力で日本の安全を守ってきました。今、この現状の中でこうした体制がしっかりと機能することによって、国民の命や暮らし、守れると信じております。しかし、状況は変化する、技術は変化する。この変化を前にして、手をこまねいて何もしないというわけにはいかない。絶えず、その体制や我が国の準備も何が求められるのか検討し、そして努力し続けることは大事であると思っています。

(内閣広報官)
次に、京都新聞、国貞さん。

(記者)
京都新聞の国貞と申します。よろしくお願いします。原油高対策に関連してお伺いします。今、国会の予算委員会等の審議でも、ガソリン税などを下げるいわゆるトリガー条項の解除について議論がなされていますけれども、一方で、総務省の試算によると、トリガー条項を凍結解除して1年間発動した場合に、自治体の税収が年間5000億円以上減るということを総務省が試算しているわけなのですけれども、コロナがやはり長引きまして、各自治体とも財政状況が厳しくなっています。

例えば京都市とかですと、観光客がなかなか来ないので宿泊税が少なくなったりとか、あと、地下鉄とか市バスに乗ってくれないということで交通局の収入なんかも減っているというような状況があるのですけれども、今、このコロナ禍という部分で自治体が影響を受けている中で、トリガー条項の凍結解除というのは総理がおっしゃるあらゆる選択肢のうちの一つに入っているかと思うのですけれども、自治体の財政との兼ね合い等を考えて、どの程度、その辺りを頭に入れながら政策判断をなさっていこうと思っているのかということを教えてもらえますでしょうか。

(岸田総理)
まず、当面は先ほど申し上げました激変緩和措置の上限を5円から25円に引き上げるという対策を強化、拡大することで対応していきたいと思います。しかし、将来的に更なる価格の高騰等も考えられるので、あらゆる選択肢を用意して準備を進めていくということを申し上げています。

そして、あらゆる選択肢ですから様々な取組を考えていかなければいけない。トリガー条項の凍結解除、この問題についても何が実効的なのか、効果があるのか、こういった点も考えながら考えていくということだと思います。その運用の仕方など様々な点も含めて、様々な選択肢の中で考えていきたいと思っています。

今はまだその段階で、明日発表する激変緩和措置、これをまず実行すること、そしてこの効果を見極めること、これがまずやるべきことであると思います。その上で考えていきたいと思っています。

(内閣広報官)
それでは、その次に北海道新聞、佐藤さん。

(記者)
北海道新聞の佐藤です。ロシアの行為は非難されるべきだと思います。一方で、日本は北方領土問題を抱え、戦後77年が経過し、元島民は著しく高齢化しています。総理は領土交渉の展望を申し上げられる状況にないと発言されていますけれども、元島民にとっては非常につらい状況です。安倍元総理は特にプーチン大統領との対話を軸にした戦略をとっていたと思いますが、総理はこうした過去の諸合意を踏まえた方針を転換するのか、この後の北方領土問題の解決に向けてどのように考えるのか、お伺いします。あわせて、共同経済活動は今後どうするのか。ビザなし交流、元島民の墓参もありますけれども、人道的な案件は継続する余地があるのかお伺いします。

(岸田総理)
まず、北方領土問題に関する基本的な立場、また、御高齢になられた元島民の方々の思いに何とか応えたいという私自身の思いはいささかも変わりはありませんが、今、この状況に鑑みれば、御指摘のように、平和条約交渉等の展望については申し上げることができないということを申し上げています。

今現在はそういうことでありますが、今後については、まずは私自身、首脳外交等を通じて、事態の緊張緩和に向けて全体の事態を変化させていく、これがまず先だと思います。それを行った上で、緊張緩和が進んだとした場合に、具体的な条件の中で何ができるのか、これを考えていく。この順番で考えていくということなのだと思っています。

今、たちまちこの状況で、先も不透明な中にあって、いきなりその部分について何か申し上げることは難しいということを申し上げています。是非、今、御指摘のような点についても、前向きに議論ができるような状況を実現するために、緊張緩和に向けて国際社会とともに力を合わせて貢献をしていきたいと思っています。以上です。

(司会)
それでは、大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。簡潔に質問をお願いいたします。それでは、信濃毎日新聞の林さん。

(記者)
信濃毎日新聞の林といいます。先ほど総理、内外の変化に触れて、大きな流れをしっかり見据えるとおっしゃいました。地方政策についてお伺いしたいのですが、コロナ禍で働き方や暮らしは変わって、一極集中や格差を是正する最後のチャンスかもしれません。総理肝煎りのデジタル田園都市国家構想を議論されていますけれども、総理はこうした状況の中で、骨太の地方政策ですとか、あるいは大胆なビジョンを打ち出す必要性についてどのように考えていらっしゃるか。あと、首都機能移転について、貿易とか、あるいは防災の観点から見直しをするお考えはあるのかどうか、議論し直すお考えはあるのか。

(岸田総理)
首都機能。

(記者)
首都機能移転ですね。お願いいたします。

(岸田総理)
はい。まず1点ですが、今、新型コロナ禍の中で、国民の皆さんの仕事や、あるいは生活における意識が変化しているということは御指摘のとおりだと思います。東京圏への転入超過数についても、先日またちょっと増えたとか、転入超過だったというニュースも流れていましたが、基本的に転入超過数は減少していく、こういった傾向にあると認識しています。

こうした意識の変化も踏まえて、そして、地方にこそデジタルを始めとする最新の技術によって乗り越えることができる課題がある。こういったニーズがある。こういったことに政治としてもしっかり応えることによって、地方の活力、地方の創生を考えることができないかというのがデジタル田園都市国家構想の基本的な考え方です。

そしてその中で、まずはデジタルインフラの整備を地方にこそ優先的に配備していかなければいけない、こんなことを申し上げて、日本を一周する海底ケーブルですとか、全国10か所程度へのデータセンターの整備ですとか、光ファイバー、5Gの整備、また、遠隔医療やオンライン教育、スマート農林水産業等のデジタル実装を進めるために、デジタル田園都市国家構想推進交付金というのも用意をしました。この交付金を使って、こうした実装を進めていく。さらには、誰一人取り残さないということで、デジタル推進員1万人以上の配備、こうしたことも明らかにさせていただいています。こうした取組を行うことによって、地方の課題をデジタルの力で解決をし、地方から中央へ、更には地方から全国へ、ボトムアップの成長を実現していきたい、このように思っています。

そして、首都機能の移転について、政府機関の地方移転については、中央省庁が7機関、更には研究機関、更には研修機関等23機関、50件について、令和4年度までに移転先での業務を開始する、こうした取組が既に決まり、動き出しています。

こうした取組をしっかり進めながら、御指摘の首都機能そのものの移転ということについては、最近の議論はずっと国会中心に行われてきた、こうした事情があります。是非、こうした国会での議論が進むことは重要であり、政府としてもそうした議論に協力はしていきたいと思っています。

是非、こうしたコロナ禍を乗り越えて、新しい時代を切り拓(ひら)く際に、地方こそ主役であるという考え方の下に、デジタルの力もしっかり活用しながら、結果を出していきたいと思っています。以上です。

(内閣広報官)
それでは最後の質問、短い質問でお願いします。フリーランスの大川さん。

(記者)
コロナ対策並びにウクライナ侵攻の連日の対策、お疲れさまでございます。フリーランスの大川興業の大川です。私、2014年のクリミア併合のときから、ウクライナにおける障害をお持ちの方の避難ということもずっと取材をしておりまして、今回、2014年のデータですけれども、総人口の6.1パーセントが、約280万人が障害者の方と言われておりまして、例えば聴覚障害者の方は18万人いらっしゃるのですが、空襲警報が聞こえないとか、避難においても大変な困難な状況が生まれていると聞いております。周辺諸国にお伺いしたところ、日本に国連を通じて、お金だけではなく、人的な支援、いわゆるお子さんも含めて障害者とか、日本であればきめの細かい支援ができるのではないかということを言われております。総理のお考えを是非お聞かせください。

(岸田総理)
今のお話を聞いて、6.1パーセント、280万人の方が障害をお持ちになっておられるという話を聞きました。私もウクライナでの大変厳しい状況、映像で見るばかりではありますが、あの中で障害を持っておられる方、さぞかし大変な厳しい、苦しい思いをされておられるだろうと。それは想像に難くないと思います。そして、そういった方も含めて我が国として人道支援を行っていかなければいけない。

おっしゃるように、1億ドル、こういった資金的な支援ももちろん大事でありますが、物品等における支援というのも考えられるのではないかと思います。医薬品を始め、我が国として支援ができるものというのはあるのではないかと思います。今後、国際機関を通じての資金、緊急人道支援はもちろん大事でありますが、お金に限らず、医薬品を始め、日本として可能な人道的支援の在り方、これは状況をしっかり見ながら考えていきたいと思います。

国際社会もそれぞれの立場で様々な支援を行っているようでありますので、その中で、日本らしい、そして日本がやらなければいけない支援の在り方については、絶えず検証していきたいと思います。以上です。

(内閣広報官)
以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。

 

記者会見の動画

岸田内閣総理大臣記者会見の動画は官邸ホームページでご覧ください。