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活動報告

岸田外務大臣のロシア訪問

 岸田文雄外務大臣は,12月2日から3日までロシアを訪問し,2日にサンクトペテルブルクにおいてプーチン大統領への表敬,3日にモスクワにおいてラヴロフ外相との間で日露外相会談を行ったところ,それぞれの概要以下のとおり。

1 プーチン大統領への表敬(2日17時50分(現地時間。以下同じ。)から約30分間)

(1)プーチン大統領から,首脳間,省庁間,議会間を含む両国間の協議が継続していること及び岸田大臣のロシア訪問への歓迎の意が表され,双方が関心を持つあらゆる問題での協議,8項目の協力プランを含む日本との幅広い分野での協力への意欲が示された。

(2)岸田大臣からは,プーチン大統領訪日において平和条約締結問題を含む政治,経済等幅広い分野で成果を得るべく,ラヴロフ外相との間で最後の詰めを行うためにロシアを訪問した,先月開催された貿易経済に関する日露政府間委員会を経て,成果文書を含む大統領訪日に向けた成果作りが進展している旨紹介。安倍総理発プーチン大統領宛の親書を手交し,大統領訪日を最大限意義のあるものにするための安倍総理の決意,日本側の考えを伝達した。

(3)また,プーチン大統領及び岸田大臣からそれぞれ平和条約締結問題についても発言があり,一定のやり取りがなされた。

(4)最後に,プーチン大統領から安倍総理宛の親書が岸田大臣に手交され,翌日の日露外相会談で幅広い議論が行われることへの期待が示され,双方は,プーチン大統領訪日の成功に向けて努力していくことで一致した。

2 日露外相会談・ワーキングランチ(3日11時15分から約1時間40分,14時から約1時間)

 2週間後に控えたプーチン大統領訪日に向けて,最終的な詰めの準備の観点から,領土問題,平和条約締結問題を始め,大統領訪日の際に双方が満足するような意義ある成果を上げるべく,中身の濃い,有意義な会談となった。

(1)平和条約締結問題

 双方は,平和条約締結問題,領土問題について,時間をかけてじっくりと議論を行った。4月の外相会談及びその後の一連の首脳間でのやり取りも踏まえ,山口での首脳会談につながるような,真剣かつ突っ込んだ議論を行った。

(2)二国間関係

ア 北方四島をめぐる問題

 岸田大臣から,先般ロシア側が発表した択捉島及び国後島への地対艦ミサイルの配備について,北方四島に関する我が国の立場と相容れず,日本国民の懸念を呼び起こすものであり,遺憾である旨申し入れた。
また,岸田大臣から,昨年度に続き,本年度も問題が発生した墓参や四島への自由訪問が円滑に実施されるよう露側に要請した。

イ 政治分野

 双方は,日露両国間で,日露海上事故防止協定改正に関する検討が進展していること,海上保安当局間で長官級の往来や合同訓練の実施等の協力が進展していることを評価するとともに,麻薬対策協力の継続・拡大を歓迎。
双方は,外務省間協議計画の調整作業が進展していることを確認しつつ,大統領訪日時の署名に向けて引き続き調整することで一致。また,シベリア抑留について,岸田大臣から,資料提供等に関するロシアの引き続きの協力を要請した。

ウ 人的交流

 双方は,査証緩和につき,双方の人的交流の拡大を目指した,日露それぞれの措置が概ね整ったことを確認しつつ,国民間の相互理解促進の観点から,青年交流を含めた国民間交流の拡大,相手国における紹介事業等を実施していくことで一致し,大統領訪日の際の成果として最終調整にいくこととなった。

エ 経済

 岸田大臣から,先月の貿易経済に関する政府間委員会を経て,大統領訪日の成果として十数本の文書が当局間により調整されていること,先月合意した8項目の協力プランに関する作業計画に則った成果作りが進展していることなどを紹介。ラヴロフ外相から,日露の貿易経済関係への更なる発展への関心が示された。
漁業に関し,前日まで行われていた,日露地先沖合交渉の妥結を歓迎しつつ,日露双方の漁業者が安定的な操業を継続できることが重要であるとの認識で一致。さらに岸田大臣から,さけ・ますの流し網漁の代替漁法についての追加的な情報提供を改めて要請した。

(3)国際情勢

ア 北朝鮮

 岸田大臣から,新たな安保理決議の採択を高く評価するとともに,関連決議の厳格な履行を通じて北朝鮮に対する圧力を強化していくべき旨強調し,双方は,新たに採択された決議の実効性を高め,北朝鮮に核・ミサイルを放棄させるべく,日露で緊密に連携していくことで一致。拉致問題に関しても,露側の理解と協力を求めた。

イ シリア

 岸田大臣から,シリア国内の人道状況の更なる悪化を強く懸念しており,敵対行為の停止,人道実施の実施が重要として,シリア危機に責任ある立場にあるロシアの建設的な役割発揮を促した。ラヴロフ外相からは,シリア情勢をめぐるロシア側の見方につき説明があった。

ウ 核軍縮

 双方は,核軍縮を進めるに当たり,核兵器国と非核兵器国の間の対話が重要であるとの認識で一致した。