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活動報告

日米外相会談

18日,ワシントンDCを訪問した岸田外務大臣は,午後1時(現地時間)から約1時間半,クリントン国務長官と会談及びワーキングランチを行ったところ,概要以下のとおり。

1.アルジェリアの人質拘束事案

会談に先立ち,岸田大臣は米国務省関係者よりアルジェリアの人質拘束事案に関するインテリジェンス・ブリーフを受けた。
会談では,岸田大臣から,日本としてテロは断じて許容しない旨述べた上で,同時に,アルジェリア政府に対して人質の人命を最優先にするよう働きかけを行ってきたことを説明し,事態を大変憂慮している旨述べた。
クリントン長官からも事態に対する憂慮の表明があり,双方は,今後も情報収集をはじめ日米間で緊密に連携して対応していくことを確認した。

2.日米関係

(1) 総論

岸田大臣から,安倍政権の外交政策の三本柱は,1)日米同盟の強化,2)近隣諸国との協力関係の重視,3)日本の経済再生のための経済外交の展開であり,特に日米同盟の強化は我が国の外交の基軸であることを説明した。
また,岸田大臣から,安全保障環境がますます厳しくなっているアジア太平洋地域を平和で安定した地域にするため,安全保障,経済,人的交流を含め,あらゆる面で日米が緊密に協力していくことが必要であると述べるとともに,オバマ政権のアジア太平洋地域重視の姿勢を歓迎する旨述べ,クリントン長官との間で,日米がこの地域の平和と安定のために緊密に協力していくことを確認した。
双方は,2月第三週に安倍総理が訪米し,日米首脳会談が日米関係の一層の強化を明確に示すものとなるよう,双方で準備を加速していくことを確認した。

(2) 安全保障

岸田大臣から,アジア太平洋地域の平和と安定のため,米国と共に日本も責任を果たす考えである旨述べ,防衛予算の増額,防衛大綱の見直し等,我が国自身の防衛力を強化しつつ,日米安保体制の抑止力を一層向上させるべく,幅広い分野において日米安保・防衛協力を進めていく決意をクリントン長官に伝えた。
米軍再編については,岸田大臣から,新政権として現行の日米合意に従って進め,抑止力を維持しつつ,沖縄の負担軽減を実現していく旨述べた。特に,沖縄の施設・区域の統合計画の作成について,日米両国で作業を加速化させていくことで一致した。

(3) 経済

TPPに関しては,岸田大臣から,新政権の考え方や日本国内での議論の状況を説明し,双方は,今後とも緊密に連絡を取り合っていくことを確認した。
岸田大臣から,我が国のエネルギー政策について,「2030年代に原発稼働をゼロにする」との前政権の方針については再検討が必要と考えている旨述べ,国際的な原子力協力のパートナーである米国と連携していきたい旨述べた。

(4) 国際的な子の奪取に関するハーグ条約

クリントン長官から,日本のハーグ条約締結のための努力を歓迎するとともに,国会での早期承認に対する期待が示された。岸田大臣から,ハーグ条約の締結は重要であり,国会での早期承認のために努力したい旨述べた。

3.地域情勢

(1) 中国

岸田大臣から,日中関係は我が国にとっても最も重要な二国間関係の一つであり,戦略的互恵関係の推進に向けて大局的な観点から対処していく旨述べた。
また,尖閣諸島をめぐる情勢について,岸田大臣から,尖閣諸島は日本固有の領土であるという基本的立場について譲歩はしないが,中国側を挑発せず,冷静に対応する考えである旨述べた。これに対しクリントン長官から,尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象である旨改めて述べるとともに,日本の施政を害しようとする如何なる一方的行為にも反対するとの米国の立場を表明した。これに対し岸田大臣から,そのような米国の立場の表明を評価する旨述べた。

(2) 北朝鮮

双方は,昨年12月の北朝鮮のミサイル発射について,国連安保理が可及的速やかに実効性のある措置をとるよう,引き続き緊密に協力していくことで一致した。また,北朝鮮については,日米,日米韓で連携していくことが重要であることを確認した。
岸田大臣から,安倍政権は拉致問題を極めて重視している旨説明し,クリントン長官から,拉致問題解決について日本を支持するとの立場が示された。

(3) 日韓関係

クリントン長官から,日韓関係改善のための安倍政権の努力を評価する旨述べ,これに対し岸田大臣から,日韓双方での新政権誕生を契機として日韓関係を更に深化させていく旨述べた。

(4) その他

その他,ARF,EAS,APECといった地域機関においても日米間の協力を深めていくことを確認した。また,クリントン長官から,イラン,シリアに関する日本の様々な協力に対する評価が示されるとともに,ミャンマーについても日米の連携を深めていくことで一致した。