消費者庁
平成21年5月29日、「消費者庁及び消費者委員会設置法」「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」「消費者安全法」が可決成立し、9月にも消費者庁が設置されることが決定致しました。
消費者庁という新しい中央省庁が新設されることは、昭和46年に新設された環境庁(現環境省)以来の大きな行政改革と言えます。
岸田文雄は消費者庁設置に、初代消費者行政推進担当大臣として内閣提出法案としての消費者庁設置法案をとりまとめ、その後は自民党消費者問題調査会長として党内の議論をリードし、内閣提出法案が衆議院に提出されてからは、衆議院消費者問題に関する特別委員会与党筆頭理事として法案修正について野党と協議を重ね、修正法案を取りまとめて筆頭の修正案提出者に名前を連ねました。
成立するまで衆議院では約60時間、参議院でも30時間近い長い審議時間をかけ、具体的かつ丁寧な議論を続けました。結果として広い意味での消費者の利益を擁護しうる、今の時代に相応しい法律が出来たと言えるでしょう。いままで産業振興官庁という側面の強かった日本の中央省庁に対し、消費者庁は消費者目線の国民本位の新しい省庁と言えます。
岸田文雄は消費者庁設置に向け常に中心であり第一線で議論をリードし、この大改革を成し遂げました。
■国民との窓口である消費生活センター
まず、消費者にとって最も身近な相談窓口となるのが消費生活センターです。
消費生活センターは、各地方自治体が現在も設置している地方自治業務の一環ですが、これからは、今までの消費生活センターをそのまま活用し、且つセンターの設置拡充や相談員の養成等、国が積極的に支援していくことになりました。
また、全国一律の電話番号も新設することによって、近くに消費生活センターが無くても、いつでもどこからでも誰でもアクセスしやすい一元的な相談窓口をつくることにもなっています。
今まで消費生活センターは地方自治体の自治事務だったので、各都道府県や市町村がそれぞれ独自にその業務を行っていました。
よって、情報などが共有されづらく、対応も各地方によってまちまちだった場合も多々ありました。
しかし今回の法律によって、中央省庁である消費者庁が司令塔となることで、情報の共有化やノウハウの蓄積による適切な処置がとれやすくなると期待されています。
■相談から対処まで、消費生活センターから消費者庁へ
いままでの消費生活センターは、消費者に助言や斡旋、啓発などは行っていましたが、直接業者に対して勧告や立ち入り調査等の権限を持っておらず、重大な事故についても、警察や保健所、また他省庁に連絡をするだけにとどまっていました。
しかしこの度の消費者庁設置によって、消費者庁そのものに事業者に対する勧告や命令、立ち入り等の調査が出来る権限を持つことになりました。
これにより、より迅速且つ具体的・専門的な対応が期待されるでしょう。
また、消費者庁には全国から寄せられた消費者問題の情報が一元的に集められ、ノウハウも蓄積されることになりますので、今まで以上に適切な対応が出来るものと期待されています。
■総理大臣所管の役所である消費者庁
消費者庁は、内閣府の外局であり、所管する大臣は内閣総理大臣となります。
消費者問題は幅広い問題であり、消費者からの相談の内容が必ずしも消費者庁が所管している法律の範囲だとは限らない場合も想定されます。
しかしこの場合でも、消費者庁の所管大臣が総理大臣ですので、是正すべき問題があるのであれば総理大臣の名前によって他の省庁に勧告や措置要求を出すことができるようになっています。
総理大臣の名前による措置要求等ですので、これはつまり内閣が一体となって消費者問題に当たるということに他なりません。
それぞれの役所が総理大臣と消費者庁のリーダーシップのもとに適切な消費者行政に当たることになり、迅速な措置がとれるようになると期待されています。
また、いままでの消費生活センターに寄せられた苦情には、場合によっては改善に繋がらないケースもあったかもしれませんが、しかし消費者庁設置によって情報が消費者庁に集められることになりますので、必要なら消費者庁、または消費者庁から情報を寄せられた担当省庁が、それぞれ事業者に対し勧告や命令、立入検査などの権限を行使し、問題の解決に当たることができるようになります。
消費者庁は、消費者と行政とを結ぶ司令塔なのです。
■消費者庁の権限
●他省庁に対する「措置要求」「勧告」など
消費者庁には、いままで消費生活センターや国民生活センターには無かった権限が、新たに設置されます。
まず消費者庁には、他の各省庁に対し、「措置要求」や「勧告」などを行えるようになります。
これは消費者庁を所管する総理大臣の名前で出されるものであり、その実行力は非常に大きなものであると言えます。
またこの他にも各省庁に対しては「資料要求」なども行えることになっており、これら他省庁に対して法律に基づいた権限が新たに加わることによって、今までのような縦割りの弊害を無くし、消費者庁が司令塔となって問題に対しての対応できるようになります。
さらに、これらの措置は全て消費者庁を所管する総理大臣の名前で行われますので、それだけも消費者庁の権限というものは非常に大きなものがあると言えるでしょう。
●消費者庁が法律を所管
消費者庁は、既存の消費者に関する法律を新たに所管、もしくは共管することになっています。
消費者庁が法律を所管するということは、つまりその法律に基づいて様々な権限を行使できるということに他なりません。
よって今までは、案件によっては適切な対処も、その法律を持っている他省庁に委ねることしかできませんでしたが、これからは消費者庁だけでも対処が出来るようになります。
これだけでも時間のロスが大幅に短縮されますし、また他省庁と違い消費者庁は消費者問題の専門機関でありますので、より具体的に専門的に問題に対処できると言えるでしょう。
●新法を企画立案する能力を有する
消費者庁はひとつの中央省庁ですので、新法を企画立案することができます。
これにより、既存の法律だけでは十分でなかった問題に対しても、新法を立案することにより、適切な処置が消費者庁によって執れやすくなります。
例えばこんにゃくゼリー問題などのいわゆるすき間事案は、どの省庁も自分の所轄ではないと及び腰であり、これに対処するための新法も企画立案できない状態でした。
しかし、消費者庁の場合は消費者問題でしたら自らが法律を企画立案できますので、専門家らしい適切な法律を作る準備をすることができるでしょう。
またその新しい法律に基づいて消費者庁が対処をするので、ますます迅速且つ適切な対処が期待されます。
■事業者に対する権限
消費者庁は民間の事業者に対しても、一定の権限を持っています。
消費者庁が必要と判断すれば、事業者に対し、勧告や命令、また立ち入り調査等を執行する場合もあります。
いままでは、このような権限を有している他省庁が他にもありましたが、消費者庁の場合、消費者問題だけを視野に入れて権限を行使することができるので、より消費者の立場で国民の目線で消費者問題を改善するために権限を行使できると期待されています。
消費者庁は、国民の生活、消費者の安全と安心を守るため、内閣の責任において総理大臣所管の下に置かれる行政組織です。
今までの消費者行政は、各省庁がそれぞれバラバラに行っていました部分がありましたが、消費者庁の新設により消費者行政が一元化され、より迅速で丁寧な、国民にとって身近で利便性の高い行政が行われると期待されます。
しかし消費者庁新設はゴールではなくスタートです。
これからより一層消費者行政が国民のために機能していくよう国会議員として引き続き努力していかなければならないと思っております。
これからも国民の皆様が自立した消費者として消費者行政に参加していただき、より良い製品より安全な製品が安心して消費できるよう、また同時に日本の製品が海外でも高い評価に繋がるよう、消費者・生産者・行政の誰もが努力していかなければならないと思っております。