科学技術政策
資源の乏しい日本にとって、科学技術は国力の根幹であり、未来を切り拓く鍵です。科学技術創造立国は日本の国是であり、幅広い分野の研究開発を強力に推進し、社会・国民にその成果を還元していく役割を負っています。
科学技術政策担当大臣は、科学技術政策の推進のための司令塔としての総合科学技術会議の方針の下、科学技術政策が国全体として統一的に実施されるよう、国全体を見渡した科学技術政策の企画、立案、総合調整を行います。
また、科学技術政策は「明日への投資」です。政府として税金の無駄遣いはやめ、節約できるところは節約していくことは当然ですが、必要なものとそうでないものを見極め「選択と集中」を一層徹底し、メリハリをつけながら、予算の拡充に努めてかなければなりません。大臣としてのバランス感覚と手腕が問われる役職でもあります。
大臣としての「現場主義」はここでも徹底しました。
11月には、東京大学本郷キャンパスを訪問し、昨年9月にはつくば研究学園都市を、10月には放射能医学総合研究所、そして12月には理化学研究所等、最先端の研究成果を視察しました。
また、産学官連携サミットへの出席や、ベトナムのファン科学技術大臣との会談、ヒト人工多能性幹細胞(iPS)の作成に成功した山中伸弥京都大学教授との意見交換等、日本の科学技術の現状や課題などの把握に務めるとともに、大学発ベンチャー企業に対する支援を行っている「東京大学アントレプレナープラザ」において入居四企業の活動現場を訪れ意見交換を行うなど、科学技術の現場の声を聞き、未来の日本の根幹を担う人材や技術の進歩などを支援するための施策を講じるよう力を尽くしています。
科学技術は、日本だけでなく、世界の国々とも協力して進めていく必要があります。この観点から、我が国では「科学技術外交」というコンセプトの下で、科学技術と外交の相乗効果で、協力し合う国全てがメリットを享受されるような政策を進めています。
原子力の分野では、昨年12月にアジア原子力協力フォーラムを開催し、議長を務めました。ここでは、地球温暖化対策に原子力発電が有効であるという地域レベルでの共同声明を世界で初めてまとめ上げました。
6月15日には先進8カ国による科学技術大臣会合が世界で初めて沖縄において開催されました。開催国として議長を務め、地球規模問題の解決に向けた科学技術の役割について議論を取りまとめました。
さらに7月にはフィリピンで開催されるアジア地域科学技術閣僚会合に参加しました。
また、この5月にはエジプトを訪問し、ヒラール高等教育・科学研究大臣と会談し、本年秋に、我が国で「日・アフリカ科学技術大臣会合」を開催することで合意しました。
資源の少ない日本にとって、科学技術で結ばれる外交、「科学技術外交」は、これからますます日本にとって大きな武器となり財産となるでしょう。
科学技術は日本の根幹であり、将来の日本にとって明るい展望が望めるようこれからも努力していかなければならなりません。
■総合科学技術会議
総合科学技術会議とは、内閣総理大臣のリーダーシップの下、科学技術政策の推進のための司令塔として、わが国全体の科学技術を俯瞰し、総合的かつ基本的な政策を企画立案する会議です。科学技術政策担当大臣はその取りまとめを担っています。
現在、原則月1回開催されており、議長である内閣総理大臣をはじめ、関係閣僚、有識者議員などが出席しています。会議では、
『1.科学技術に関する基本的な政策についての調査審議』
『2.科学技術予算・人材の資源配分などについての調査審議』
『3.国家的に重要な研究開発の評価』
などを実施しています。