全世代型社会保障改革に全力(『自由民主』ロングインタビュー)
-政調会長3期目の抱負は。
政調会長3期目も初心を忘れることなく、丁寧にしっかりと職務を果たしてまいります。何よりも地方をはじめ多くの方々の声に耳を傾け、ボトムアップ型で丁寧な政策運営を心掛けていきます。
2期目に取り組んだ選挙公約の検証や部会の機能強化、会議資料のペーパーレス化などの「政調改革」も引き続き前に進めます。地方の声を聞くために続けてきた地方政調会は、テーマに憲法改正を加えて開催します。
また、新時代の社会保障・経済・財政を政調会長直属の3本部組織で議論していますので、これらの組織を中心に日本の進むべき道を検討していきたいと思います。
―消費税率引き上げの意義とその対策は。
消費税率の引き上げが実施された10月1日は、新時代に向けて全世代型社会保障が動き始めた日と捉えるべきです。消費税率引き上げに伴う増収分の半分を使い、幼児教育・保育の無償化や低所得者を対象とする年金生活者支援給付金、介護保険料の軽減がスタートしたからです。来年4月からは真に支援が必要な子供たちの高等教育無償化も始まります。
また、消費税率の引き上げによる経済への影響を緩和するため、キャッシュレス・ポイント還元事業やプレミアム付商品券、軽減税率制度、自動車と住宅の優遇税制など万全な対策を講じました。
今後は消費税率引き上げによる日本経済への影響に加えて、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱、中東情勢など、日本経済の下振れリスクも含めて経済動向を注視し、必要な場合はマクロ経済政策を躊躇なく実行することを検討しなければなりません。
―全世代型社会保障改革の取り組みは。
わが国が人口減少や人生100年時代に直面する中、高齢者に加えて子供や子育て世代など全世代を対象とする社会保障制度が求められていますので、政府・与党は車の両輪としてこの課題に取り組んでいかなければなりません。
9月24日に行われた党人生100年時代戦略本部で、私は議論の開始にあたり
①就労しやすい社会の構築
②個性や多様性の尊重
③持続可能性の重視
の3原則を掲げました。
国民の皆さまが生き生きと長く働ける社会を作ることは、社会保障の支え手を増やすという意味でも重要です。また、今は社会全体で生き方が多様化する時代ですから、生き方で不公平が生じない社会保障制度の在り方を考えていかなければなりません。大きなリスクを皆で支えていくという社会保障の原点に立ち戻り、持続可能性を考えていくことも大切です。同本部では関係団体からのヒアリングを行うなど、精力的な議論を進めていく予定です。
―来年度予算編成に向けた意気込みを。
令和時代初の予算編成となる来年度予算は、社会保障や成長戦略、防災・減災、国土強靱化などの大きなテーマに取り組む意味でも、非常に重要な予算となります。
今年度予算の編成過程では、大臣折衝前に政調会の各部会が財務省から予算案の具体的な数字について報告を受けることで、わが党の意見を予算編成によりしっかりと反映させる仕組みをスタートさせました。
わが党はこの仕組みを通じて、来年度予算編成にもしっかりと関与していきます。
―国民の皆さまへのメッセージを。
令和の時代は、科学技術の進歩などによる大きな可能性や希望に満ちた時代になります。ただ、その可能性や夢を現実の物とするためには、政治が社会保障や経済、財政の持続可能性を確保していくことが不可欠です。
個性や多様性が尊重されることで、国民一人一人がより生き生きと活躍できる社会を築き上げていきたいとも考えています。
また、国際社会の中で日本が発言力や存在感を示していくために、わが国は経済の活力を背景にしながら、環境やエネルギー、平和、医療、保健など地球規模の課題に関するルール作りをリードしていきます。
わが党は新時代においても国民の皆さまが可能性や夢を追求できる国創りに強い覚悟をもって挑戦してまいりますので、国民の皆さまの引き続きのご支援を宜しくお願い申し上げます。
(『自由民主』令和元年10月22日号一面より)