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活動報告

令和5年12月13日 岸田内閣総理大臣記者会見

【冒頭発言】

本日、55日間の会期を終え、第212回国会が閉会いたしました。会期末に当たり、所感を申し述べます。

何よりも経済に重点を置く、この決意で総合経済対策を決定し、裏付けとなる補正予算の成立に全力で取り組んできました。与党のみならず、国民民主党、日本維新の会を含め、党派を超えた幅広い賛成によって成立したことを心強く感じています。

法案は、政府が提出した14本全てが成立いたしました。10月に解散命令請求を行った旧統一教会の被害者救済のための新法も、議員立法により、ほぼ全党の合意の下、成立いたしました。この臨時国会の円滑な運営に御協力いただいた全ての関係者の皆様方に感謝を申し上げます。

まず冒頭に、自民党の政策集団の政治資金パーティーに関連した問題について申し上げます。

それぞれの政策集団の活動、ひいては自民党の政治活動に政治資金の観点から厳しい目が向けられ、国民から疑念を持たれるような事態を招いていること、これは極めて遺憾です。

信なくば立たず、国民の信頼なくして政治の安定はあり得ません。党全体として強い危機感を持って、一致結束した対応を図ってまいります。総理総裁として政治の信頼回復に向けて、自民党の体質を一新すべく、先頭に立って闘ってまいります。これが自分の務めであると思い定めています。

政治改革を求める国民の皆様の厳しい声、その声に真摯に耳を傾けて、党所属の議員と膝詰めの議論を集中的に進めていきます。改革については、これから確認される事実に基づいて明らかにしてまいります。

まずは、第一歩として、各政策集団のパーティーを当面開催しないことを申し合わせました。さらに、国民の信頼回復に向けて党の先頭に立って闘っていく姿勢を明らかにすべく、私自身が政策集団から離れることといたしました。

これから年末に向けて、予算、税制、診療報酬・介護報酬等の同時改定など国民の生活や国の基本政策に関わる重要な決定がめじろ押しで、正に大詰めを迎えています。政府・与党として、国政に遅滞を来すことがないよう全力を挙げなければなりません。

こういった考え方の下、国会終了を待って、明日、速やかに人事を行うことが適切であると判断いたしました。早急に必要な手続を進めることといたします。

これから年末にかけて重要な政策決定が続きます。私自身が党の先頭に立って、国民の政治への信頼を回復すべく、そして、それに全力を尽くし、政策の推進に支障が生ずることがないよう、政府・与党を挙げて高い緊張感を持って臨んでまいります。

岸田政権は、先送りできない課題に結果を出すべく、真摯に取り組んできました。外交では、インドなどグローバルサウスの主要国やウクライナの首脳も招き、平和国家日本としてG7広島サミットを主催いたしました。

韓国の尹(ユン)大統領との深い信頼関係を築き、急速に日韓関係を進展させました。そして、歴史を画する日米韓のキャンプ・デービッド首脳会談、さらには、11月に行われた日中首脳会談を皮切りに、様々なチャンネルで日中の対話が再開しようとしています。

来年、2024年は、緊迫の1年になるでしょう。ウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢、米国大統領選を始め相次ぐ主要国の国政選挙、ロシア・北朝鮮の連携など複雑化する東アジアの安保環境、日本の外交力を駆使して難局を乗り越え、日本ならではのリーダーシップを発揮していくことが求められます。そのためにも、日本の政治の安定が求められます。

経済では、新しい資本主義で掲げた様々な取組もあり、賃上げ、設備投資、株価など、いずれも30年ぶりの高い水準となりました。物価上昇を乗り越える賃上げ、グリーンやデジタルの攻めの設備投資、会社の枠を超えた労働移動、企業の活発な新陳代謝、こうした熱量の高い、新しい経済ステージへと移っていくため、デフレ心理とコストカットの縮み志向に支配されていた30年間から脱却する千載一遇のチャンスを迎えています。

来年、2024年は、その千載一遇のチャンスをつかめるか、後戻りしてしまうかの正念場です。物価高から国民生活を守り、物価上昇を上回る賃上げ、これを必ず達成しなければなりません。そのために政府の総力を挙げて政策を実行してまいります。

今年の年頭会見では、次元の異なる少子化対策に挑戦すると申し上げました。4月にはこども家庭庁を発足させ、6月には子供一人当たりの支出をOECD(経済協力開発機構)トップのスウェーデン並みへと大幅に拡充することをお示しいたしました。

そして、来週には、拡充する支援策の詳細などを盛り込んだ、こども未来戦略を正式決定いたします。これまで必要性が唱えられながら長らく実現し難(がた)かった困難な課題に、一定の答えをお示しいたしました。

引き続きこれらの取組の実行に全力を挙げるとともに、少子化問題やデジタル行財政改革を含めて、人口減少社会への対応という長期戦略を視野に入れ、日本社会の持続可能性を維持するための大きな課題に挑戦してまいります。

以上、申し上げた先送りできない課題への取組は、政治の安定があればこそ進展してきました。国民の信頼なくして政治の安定はありません。現在のこの状況、政治の安定なくして政策の推進もないということを改めて強く感じています。現在の政治資金をめぐる様々な課題に、事態の推移を踏まえつつ、正面から取り組んでまいります。

国民の信頼回復のために火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んでまいります。国民の皆様の御理解をお願い申し上げます。

冒頭発言は以上です。

【質疑応答】

(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問を頂きます。質問をされる方は、挙手の上、指名を受けてからお近くのスタンドマイクにお進みいただき、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、一人1問、御質問をお願いいたします。まず、幹事社から御質問いただきます。それでは、北海道新聞、藤本さん。

(記者)
北海道新聞の藤本です。よろしくお願いいたします。自民党の政治とカネをめぐる問題について質問します。安倍派の裏金疑惑で、松野官房長官や西村経済産業大臣、萩生田政調会長ら複数の政権幹部が裏金を受け取った疑いが浮上しました。総理は、先ほど実施を表明された新たな閣僚・党役員人事で、松野長官ら安倍派所属の幹部を交代させるとの見方が出ておりますが、総理は、新たな大臣と党役員に、安倍派の議員は登用しないお考えでしょうか。また、多くの国民は、今回の疑惑は派閥の問題ではなく、自民党の問題として捉えており、党総裁である総理の責任も問われています。強い危機感を持っているとおっしゃるのであれば、新たな人事の後にも閣僚らに疑惑が出た場合、どのような責任を取るお考えなのでしょうか。総理総裁の職を辞するお考えがあるのか、これらも含めてお伺いします。

(岸田総理)
まず、現在、自民党の政策集団の政治資金パーティーをめぐり、様々な指摘がなされ、結果として、政治に対する国民の皆様の信頼が揺らぎ、そして、自民党全体に対しても厳しい目が注がれている、これを強く感じています。これは、自民党全体の問題として強い危機感を持たなければならない、こうした課題であると強く感じています。

そして、この問題については、告発を受けている問題であると承知しておりますが、この関係者、当事者、自らをしっかり調査、精査し、そして、当局に対して丁寧に説明を行い、事実を確認することが求められます。そして、それに基づいて修正など適切な対応が求められる、こうした課題であると思います。そして、この事実が確認されたならば、それを国民の皆様にしっかりと説明しなければならない。こうしたことであると思います。

そして、その中で、様々な課題ですとか原因が明らかになっていく。これに対して、これは自民党の問題であるという強い認識を持って、党としてこれにどう向き合うのか、対応していくのか、これを明らかにしなければならない。今言ったプロセスの中で、事実を確認する中で、党として真剣に取り組まなければいけない、こうした課題であると認識しています。

そして、その中で、人事についてお尋ねがありました。この人事については、政治の信頼回復という観点から、また、国政において遅滞を生じるなどということがあってはならない、政治の、国政の遅滞回避の観点から人事を行いたいと思っています。先ほど申し上げましたが、明日、人事を行いたいと思いますが、その内容については、今現在、調整を続けています。調整した結果、明日、明らかにしていきたいと思っています。

そして、今の御質問で、それでも更に問題がある人間が出たらどうするのか、こういった御指摘がありました。これは、今から人事をやる段階で、御指摘のような仮定に基づいての御質問にお答えすることは適切ではないと思いますが、そうした懸念が生じないように、諸課題に対してどう対応していくのか、対応するための体制はどうあるべきなのか、これを真剣に追求し、判断していきたいと思っています。以上です。

(内閣広報官)
続きまして、幹事社のフジテレビ、瀬島さん。

(記者)
フジテレビの瀬島です。よろしくお願いします。関連して、再発防止策についてお伺いします。信頼回復へは、まずは徹底的な実態解明が求められると思いますが、実態解明に具体的にどのように取り組むのか。例えば期限を決めて調査を行って内容を公表するなど、総理が具体的に指示をされるお考えはありますでしょうか。また、改革について、冒頭、事実に基づいて明らかにするとおっしゃっていましたが、政治資金規正法改正を、来年の通常国会で議論すべきとお考えでしょうか。一方で、自民党の体質を一新するということもおっしゃっていましたが、派閥の解消も含めた改革の必要性や今後の派閥の在り方をどのようにお考えでしょうか。

(岸田総理)
まず、事実をどのように明らかにするのか、また、今後のタイムスケジュール、いつまでにやるのか、こういった御質問がありました。実際、現実、問われているケースは様々なケースがあります。その中でありますので、一律にいつまで全て結果を明らかにするということは、現状なかなか難しい点はあると思っておりますが、考え方として、プロセスとして、先ほど申し上げました告発を受けている案件であると承知しております。

まずはこの指摘を受けた当事者、関係者、これは自ら精査、調査に全力を尽くさなければなりませんが、それを当局にも丁寧に説明することによって、事実を確認し、それに基づいて修正等適切な対応を行っていかなければならないと思います。そして、事実が確認されたならば、それを国民の皆様に説明していく、これが政治の責任であると思っています。

こうしたプロセスを経て、説明責任をしっかり果たし、そして、その事実の中から原因ですとか課題が明らかになってくる。これをしっかりと踏まえて、自民党はどうあるべきなのか、政治はどうあるべきなのか、これを考え、そして、党として責任を持って実行していく、対応していく。このプロセスを進めていかなければならないと思っていますし、私も自民党総裁として、こうした取組を進めていくべく先頭に立って取り組んでいきたい、このように思っています。

そして、御質問の中で、政治資金規正法ですとか、あるいは派閥の在り方についても御指摘がありました。今、申し上げたような取組を進める中で、実際、事実がどういったものであるのか、これをまず確認しなければならないと思いますが、その中で原因や課題が明らかになってくる、御指摘のような点についても議論になること、これはあり得ることだと思います。その中で、自民党としてもこうした議論に、国民の信頼回復のためにどうあるべきなのか、そういった観点から貢献をしていかなければならない、このように思っています。

いずれにしましても、政治の改革を求める国民の皆様の真摯な声、これを自民党としてしっかり受け止めて取り組んでいかなければならないと思います。強い危機感を持って、今、申し上げた取組、進めていきたい、このように思います。

(内閣広報官)
それでは、次に、日本テレビ、平本さん。

(記者)
総理、日本テレビの平本です。冒頭、国民から厳しい目が向けられているという言葉がありました。一般企業ですと、こうした事態になった場合、トップが退路を断って、期限を区切って、辞任をしてこの問題対応に当たる決意を示すケースもあると思います。今、自民党内、野党を含めて総辞職を求める声というのが出ていると思いますが、岸田総理自身は、例えば来年度予算案が成立した後に総辞職をすると期限を区切って、覚悟を見せて、この問題に取り組む決意というのはあるでしょうか。ないのであれば、来年の総裁選には、まだこの時点では臨むという意欲を持たれているのでしょうか。あと一つ、今日の冒頭発言で火の玉という言葉がありましたけれども、この言葉に込めた意味というのはどういったものがありますでしょうか。

(岸田総理)
まず、先ほども申し上げたように、今の状況に対して強い危機感を党内で共有しなければならないということ、これを自民党の幹部にも私自身直接訴えて、この問題に取り組む、先頭に立って取り組む、こういった思いを申し上げてきました。

その際に、先ほど来申し上げておるように、まずは事実関係を精査させ、確認し、その上で適切に対応しなければならない。そして、国民の皆様に説明をしなければならない。これがまず基本であり、その上で明らかになった原因や課題について、真剣に向き合わなければならない、結果を出さなければならない。これが党としての姿勢であると思いますし、その先頭に立たなければならないと思っています。

御質問は、予算が成立したならば解散するのか、あるいは来年の総裁選挙をどうするのかということでありますが、今はそうした先のことを考えている、そういった余裕はないと思っています。まずは、今、申し上げたこの課題に全力で取り組む、それに尽きるのだという強い覚悟を示すことが重要だと思っています。

そして、火の玉に込めた思いですが、それは先ほど来申し上げております、この状況に対する強い危機感を、総理総裁である私こそ最も強く感じている、そういった思いを込めさせていただいた、こうしたことであると考えています。

(内閣広報官)
それでは、東京新聞、大杉さん。

(記者)
東京新聞の大杉です。よろしくお願いします。冒頭、総理の発言を伺いましたけれども、そもそもこうした事態になったことの総理御自身の、総裁としての責任をどういうふうに見ているのかということと、この問題自体が収支報告書の修正から始まっていますけれども、この問題自体の背景というか、この問題の根本に何があるというふうに総理御自身、分析されているのかという点を、その上でどういうふうに、信頼回復とおっしゃるのですけれども、検察の動きを待っていたら、いつになっても信頼回復の方向は示せないのではないかなと思うのですけれども、総理御自身として、オリジナルでこういうことをしていくという具体的な案が今あるのであれば、少しでもあるのであれば、示していただけたらなと思うのですけれども。

(岸田総理)
まず、この問題における背景がどんなものがあるのか、それについて総裁としてどう考えるかという部分についてですが、これは今回、様々な点が問われています。多くの議員が様々な指摘を受けています。ですから、この実態については、一つ一つにおいて事実の確認が行われなければならない。要は、一律整理できる問題かどうか、これは事実の確認を待たなければならない、このように思っています。

ただ、こうして法との関係において指摘を受けているということを考えますと、やはりこうした政治資金に関わる問題、あるいは法律との関係において、緊張感が本当にあったのかどうか、この点については、まずもってしっかり我が身、そして自民党自身がこれを振り返らなければならない課題だと思います。

そして、事実を明らかにするということについてですが、これは実際、今、現実、告発を受けて様々な捜査等が行われていると認識しています。こうした状況ですので、当局への説明、こういったものを通じて事実を確認すること、これは大事なことでありますし、それに対応して具体的に行動する、そして説明する、こういったことが何よりも求められるのだと思います。いつまでたっても事実が明らかにならないというものではなく、こうした現実の中でできるだけ、事実が確認されたならば早く説明をする、こうしたものであると思っています。

是非、こうした自民党としての取組をしっかりと徹底させることを通じて、できるだけ早い説明責任を果たしていかなければならないと思います。その上で、党として何をしなければならないのか、信頼回復に向けて党はどう変わらなければいけないのか、こうしたものを国民の皆様の前に明らかにする。そして、そのことによって信頼回復につなげていく道筋を考えていく。こうした取組を党として行っていきたい、このように考えています。

(内閣広報官)
では、毎日新聞、田辺さん。

(記者)
毎日新聞の田辺です。今回は、政治資金規正法の改正についても議論になっているところがあると思います。特にパーティー券の購入や寄附の全額公開を求める声などがあります。その点について、総理御自身はどのようにお考えでしょうか。そういったことを検討してもよいとお考えなのか、検討する必要はないとお考えなのか、お願いします。また、人事をするということですけれども、その理由が今回の問題を受けてということであれば、今回の閣僚や長官の会見の中では、政府の立場なのでお答えできないということが多くありました。この問題を受けて交代された方というのは、そうした政府の立場だからコメントできないということは、今後はないというふうに考えてよいでしょうか。

(岸田総理)
まず、政治資金規正法について議論するかという御指摘でありますが、先ほど申し上げました取組によって事実が認定され、それに適切に対応していく、あわせて、説明を行っていく、こうしたことであると思っていますが、その中で、原因や課題が明らかになり、結果として、どういった対応が必要になるのか、こういった議論になると考えます。その結果として、法律の問題であるという議論になること、それもあり得るとは思いますが、これは事実の認定を前にして、具体的にどう変えるかとか、どういった基準にするか、これは、現実をしっかり把握した上で議論しなければならない課題であると思っています。

それから、今回交代を考えている人事についてですが、基本的に多くの関係者がこうした政府の取組、国政に遅滞が生じることはあってはならない、こういった観点から自らの立場をどうするのか、これを考えておられると思います。事情は様々でありますが、自らの状況に応じて、結果として、国政に遅滞が生じることがないようにということで判断されるものであると思っています。いずれにせよ、先ほど申し上げた今の現状におけるプロセスの中で事実が認定されたならば、説明責任を果たしていく。この立場は関係者皆同じであると思っています。

(内閣広報官)
それでは、ロイターの杉山さん。

(記者)
ロイター通信の杉山です。政治資金問題を海外にどのように説明するか質問です。総理はこれまで外遊先で、海外投資家に日本への投資を呼び掛けたり、来日した投資家と積極的に面会してきました。半導体など産業面でも、日本への直接投資を呼び掛けています。投資家や経営者は、政権基盤が不安定化して、政策の不透明感が強まることを嫌気すると思いますけれども、総理は、この政治資金問題をどのように説明し、海外の懸念をどのように払拭していくのか、お考えをお聞きします。

(岸田総理)
今、海外の投資家から、日本の昨今の変化については大変前向きな評価、判断があると認識しています。9月に初めて行ったジャパンウィークにおいても、世界中の投資家が、日本の現状に対して期待する。だからこそ、あれだけ多くの世界の投資家が東京に集まる、ああいった場面もあったのだと思います。日本を成長型経済へと転換していく、こうした新しい資本主義、また、デフレ脱却の取組、こうしたものに対して、海外投資家の期待、これは大きいものがあり、これに応えていかなければならないと思います。

引き続きこれについては、来週も官民投資フォーラムを開催いたします。また、国内投資パッケージを取りまとめて、成長分野における投資案件を後押ししてまいります。また、来年1月からは、新しいNISA(少額投資非課税制度)が導入される。貯蓄から投資へのシフトを実現していく。こうしたことを通じて、海外の評価にもつなげていかなければならないと思いますし、そして、本日取りまとめた資産運用立国実現プラン、これを通じて資産運用ですとか、あるいはアセットオーナーシップ改革、こうしたものに取り組んでいく日本の姿勢もしっかり明らかにしていきたいと思います。

ただ、御指摘のように、こうした努力をしている中で、そうした政策の基本である政治の安定、政治の信頼が問われるという事態は大変残念なことですし、そうあってはならないと強く感じます。ですから、今言った政策は、これからも前向きに進めていかなければならないと思いますが、それと並行して、先ほど来申し上げている政治の信頼回復を強い覚悟を持って進めていく、この両方があってこそ、今の日本に対する期待も維持することができると思い定めて努力をしていきたいと思っています。

(内閣広報官)
日経、秋山さん。

(記者)
日経新聞の秋山です。経済政策について伺います。日銀の植田総裁が、年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると発言し、マーケットではマイナス金利政策の解除観測も浮上しています。総理は、30年ぶりのデフレ完全脱却を目指し、来年に向けて賃上げと投資、消費の好循環を生み出すための経済対策を打ち出していますが、金融政策が早い段階で引き締め方向に動けば、政府の経済政策と矛盾するような可能性もあります。脱デフレに向けて、政府、日銀の連携はどのように考えますか。お考えをお願いします。

(岸田総理)
まず、御案内のとおり、日銀と政府、これはアコードを通じて緊密に連携すること、これを確認しています。すなわち、構造的な賃上げを伴う経済成長、そして物価安定目標の持続的、安定的な実現、こうしたことを目指していくのだということについては、政府、日銀は一致していると、共にその目的に向けて努力していく立場にあると考えます。

金融政策については、具体的な政策、これは日銀に委ねなければならないと思いますが、日銀には引き続き、政府の様々な政策、デフレ完全脱却、あるいは賃上げ、そして成長と分配の好循環、持続的な賃上げがリードする形でコストカット型経済からの脱却、こうした経済政策をしっかり念頭に置いていただきながら、政府と連携をしていただきたいと期待しています。

具体的な、適切な金融政策運営の判断については日銀に任せなければなりませんが、政府のこうした経済政策の目的ですとか、取組の在り様、これもしっかり念頭に置きながら、適切な判断を期待したいと思います。

(内閣広報官)
それでは、南日本の方、吉松さん。

(記者)
南日本新聞の吉松です。鹿児島県の屋久島沖での米軍オスプレイ墜落事故についてお尋ねします。8人が死亡という重大事故を受け、政府はオスプレイの安全が確認されてから飛行を行うよう要請しましたが、米軍は全世界のオスプレイを運用停止とするまでの約1週間、沖縄や奄美(あまみ)などで離着陸を繰り返し、住民の不安が高まりました。政府の要請の在り方は適切だったのでしょうか。今後、更に強い要請を行う考えはないか、陸上自衛隊のオスプレイ配備計画や日米地位協定を見直す考えはないかお答えください。

(岸田総理)
まず、米軍機の運用に当たっては、地元の方々等の安全確保、これは大前提であるということ、これは言うまでもありません。今回の事故を受けて、地元の皆様方、米軍基地が所在する地元の方々ですとか、事故があった鹿児島県の方々が御心配され、懸念されている、こういった声をまず真摯に受け止めています。

そして、御指摘のように、日本側としては、事故発生直後から米側に対しまして、安全の確認がされるまで飛行しないよう、これは明確に求めてきたところであります。ただ、当初は事故が起こった同型機CV-22、空軍の同型機の運行停止であったと承知しています。そして、その後ずっと要請を続けてきた結果、同型機だけではなく、海兵隊や海軍の保有する機種も含めて、全ての保有するオスプレイについて運用を停止するという発表が行われた。こういった経緯をたどりました。

当然のことながら、引き続き日本にある全てのオスプレイの飛行停止を継続してもらいたい。要は、安全確認について十分な情報提供の下に、不安の払拭につながる、こうした努力を求めていきたいと思います。

そして、御指摘のように、オスプレイは、自衛隊においても運用しております。今回の運用停止措置も含めて、米側に対しては情報提供をしっかりと求めていかなければならないと思います。そして、飛行の安全について確認作業を行う。その上で、地元の皆様方に対する不安払拭のための情報提供を行っていく。そして、必要な措置を行っていく。これが我が国においても求められることであると考えます。以上です。

(内閣広報官)
それでは、大変恐縮ですけれども、この後の総理日程の関係であと2問とさせていただきます。それでは、安積さん。

(記者)
フリーランスの安積と申します。
この度の派閥のパーティー券問題についてお伺いします。総理は先ほど自民党全体の問題と捉えていると、強い危機感を持って取り組むというふうにおっしゃいました。それでは、いっそ派閥を、全派閥をやめるというふうに宣言されてはいかがでしょうか。そのためには、まず、総理が先日まで会長を務められた宏池会(こうちかい)を解散されてはどうでしょうか。今、派閥はポスト利権の巣窟とか、あと、裏金づくりの機関でしか、国民の目では見えていません。自民党結党宣言の冒頭には、政治は国民のものとありますが、この原点に立ち返るためには、まず、派閥という存在自体をやはり消してしまうということが必要だと思いますが、この国民の声は、総理の耳には届いていますでしょうか。

(岸田総理)
御指摘のように、自民党に対して、そして政治に対して厳しい声があるということ、様々な声があるということ、これは私も承知しております。様々な声を聴かせていただいています。こうした声に応えて、政治の信頼回復、自民党の信頼回復に努めなければならない、これは御指摘のとおりだと思います。

そして、今、具体的に幾つか御提案を頂きました。こうした具体的な対応、行動を行うためにも、先ほど申し上げた事実の確認、そして説明のプロセスが求められると思っています。その上で、課題、原因を確認した上で、様々な声に応えていきたいと思っています。以上です。

(内閣広報官)
それでは、中国新聞、中川さん。

(記者)
中国新聞の中川と申します。G7議長国としてのこの1年についてお伺いいたします。今年はG7議長国として、5月に広島サミットを開かれました。米仏の核保有国を含む首脳を被爆地に集め、平和のメッセージも出したところです。しかし、世界ではいまだにウクライナやガザ地区で紛争が続いています。対露制裁など、G7の対応を疑問視する声もあります。改めて議長を務められたこの1年の成果と現在の国際情勢を踏まえたG7の課題、なすべき役割をどう考えるか伺います。

(岸田総理)
おっしゃるように、今年、日本はG7議長国を務めました。そして、5月のG7広島サミットにおいて、AI(人工知能)、環境を始め様々な議論を行いましたが、やはり最も基本的な考え方として、今、国際秩序が大きく変化し、揺らいでいるその中にあって、改めて多くの国々がよって立つ考え方、よって立つ基盤、これをしっかり確認し、G7のみならず、グローバルサウスを始め周辺国も含めて、国際社会が分裂や分断ではなく再び協力していく、こうした道筋を考えていくべきである。

その理屈として、一つは法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、やはり国際法というのは弱い立場の国にこそあるものであるという考えに基づいて、今一度、国際法によって立つ国際秩序を考えていかなければならないということ、さらに、もう一つは、やはり今、国際秩序が大きく変化する中にあって、グローバルサウスと言われる国々、かつて大国と言われていた国ではなく、グローバルサウスと言われている国々との結束、これが新しい国際秩序を考えていく上で重要であるということを確認した、そのために広島にブラジルやインドやインドネシア、また、ウクライナのトップも集まった、こういった会議であったと思います。こうした基本的な考え方に基づいて、一つの結論に至った文書を取りまとめた、このことは大きな意義があったと思います。

ウクライナに対するG7の対応も非難されているのではないか、こういった御指摘もありましたが、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序をG7のみならず、同志国、関係国も共に協力して守っていくということ、また、少なくとも法ではなく、力による一方的な現状変更、これはどこの国、どの地域においても認めるべきではないという考え方、これは大変重要な考え方であり、ウクライナの情勢についても様々な議論があると承知していますが、この基本だけは、国際社会として譲ってはならないことだと思いますし、こういった議論をリードしたということ、これは日本外交において、意義ある取組であったと思います。

12月6日の日に、私はG7議長として、最後のG7テレビ会議を主催いたしました。その中にあっても、今言った基本的な考え方、これは確認されました。1月からはイタリアに議長を譲ることになるわけでありますが、今言った、混乱する国際秩序であるからこそ、よって立つ基本的な考え方、これをしっかり示してグローバルサウス等と連携していく、こういった姿勢はこれからも大事であると認識しています。以上です。

(内閣広報官)
大変恐縮ですが、以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。現在、挙手いただいている方につきましては、本日中に1問、報道室担当宛てにメールでお送りください。後日、書面にて回答させていただきます。御協力ありがとうございました。

記者会見の動画

岸田内閣総理大臣記者会見のフル動画・掲示資料は官邸ホームページでご覧ください。