令和4年8月31日 岸田内閣総理大臣記者会見
【冒頭発言】
おはようございます。国民の皆様にも御心配いただきましたが、本日から対面での公務を再開し、全身全霊、全力投球で仕事に取り組んでまいります。
この間、官邸の医療スタッフを始め、多くの方のサポートを頂きました。お陰様で、オンラインで公務を進めつつ、体調も完全に回復をいたしました。皆様の御協力と御理解に感謝を申し上げます。
今回、コロナに感染して強く感じたことは、ワクチンの有用性です。ワクチンの4回目接種を済ませていたことで、軽い症状で済みました。自らの実体験も踏まえ、皆様には、引き続きワクチン接種に御協力をお願いするとともに、10月から開始予定のオミクロン株対応の新たなワクチンの接種について、その開始を更に前倒しすることといたします。
さて、思い返してみますと、今から1年前、私は、我が国の民主主義を守る、信なくば立たず、こうした思いで自民党総裁選挙に出馬いたしました。昨年10月、総理就任後は、国民の皆さんの声を聞き、丁寧に政治を進める中で、(新型)コロナ(ウイルス)、ウクライナ侵略、また物価高などへの対応に当たってきました。
この間行われた2回の国政選挙では、政権への御信任を頂きました。国民の皆様の期待に応え、山積する課題を一つずつ解決していかなければならない、そうした思いで有事対応と政策実行のための内閣改造を行いました。
しかし、今、率直に申し上げて、政治に対する国民の皆様の信頼が揺らいでいると深刻に受け止めております。改めて、総裁選出馬を決意した昨年の原点に立ち戻り、私が先頭に立ち、政治への信頼回復に取り組まなければならない。信頼と共感の政治に向け、決意を新たにしております。
まず、旧統一教会の問題です。我々政治家は、それぞれの政治活動において、可能な限り多くの方々と接し、その意見に耳を傾け、自分自身の考えも御理解いただく努力が不可欠です。また、信教の自由や政教分離は憲法上の重要な原則として最大限尊重されなければなりません。
しかしながら、政治活動には責任が伴います。宗教団体であっても、社会の構成員として関係法令を遵守しなければならないのは当然である一方、政治家側には、社会的に問題が指摘される団体との付き合いには厳格な慎重さが求められます。
私の政権における大臣、副大臣、政務官については、自ら当該団体との関係の点検を行うとともに、関係を絶つことの確約を得たところです。しかし、閣僚等を含め、自民党議員について、報道を通じ、当該団体と密接な関係を持っていたのではないか、国民の皆様から引き続き懸念や疑念の声を頂いております。
自民党総裁として率直におわびを申し上げます。
国民の皆様の疑念、懸念を重く受け止め、自民党総裁として茂木幹事長に対し、先週来、3点指示をいたしました。
第1に、党として説明責任を果たすため、所属国会議員を対象に当該団体との関係性を点検した結果を取りまとめて、それを公表すること。
第2に、所属国会議員は、過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つこと。これを党の基本方針として、関係を絶つよう所属国会議員に徹底すること。
第3に、今後、社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないよう、党におけるコンプライアンスチェック体制を強化すること。
自民党として説明責任を果たし、国民の皆様の信頼を回復できるよう、厳正な対応を取ってまいります。
また、当然のことながら、政府としても霊感商法等の被害者への対応に万全を期すため、法務大臣を議長とする「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議や、消費者庁に霊感商法等の悪質商法への対策検討会を設置しており、政府を挙げて被害者の救済に全力で取り組んでいきます。
次に、9月27日に予定しております安倍元総理の国葬儀について申し上げます。
選挙遊説中の安倍元総理に対する凶行を受けて、私は国葬儀を実施するとの決断をいたしました。民主主義の根幹たる国政選挙を6回にわたり勝ち抜き、国民の信任を得て、憲政史上最長の8年8か月にわたり重責を務められたこと。
第2に、東日本大震災からの復興や、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的な外交を主導し、平和秩序に貢献するなど、様々な分野で歴史に残る業績を残されたこと。
第3に、諸外国における議会の追悼決議や服喪の決定、公共施設のライトアップを始め、各国で様々な形で国全体を巻き込んでの敬意と弔意が示されていること。
第4に、民主主義の根幹である選挙活動中の非業の死であり、こうした暴力には屈しないという国としての毅然(きぜん)たる姿勢を示すこと。国葬儀を執り行うとの判断に至った理由をこのように説明してきました。
諸外国からは、各国王族、大統領など、国家元首・首脳レベルを含め、多数の参列希望が寄せられております。こうした各国からの敬意と弔意に対し、日本国として礼節を持ってお応えすることが必要だとの思いを強くしております。
もとより、今回の国葬儀の開催は、国民に弔意を強制するものではありませんが、様々な御意見とともに、説明が不十分との御批判を頂いております。国葬儀の実施を判断した総理大臣として、そういった御意見、御批判を真摯に受け止め、正面からお答えする責任があります。政権の初心に帰って、丁寧な説明に全力を尽くしてまいります。
そのため、国会の場で、閉会中審査の形で、私自身が出席をし、テレビ入りで国葬儀に関する私の決断について質疑にお答えするという機会を頂きたいと考えております。一日でも早くこうした場をつくるべく、与党幹事長、国対委員長に必要な調整を行っていただくよう、先ほどお願いいたしました。野党の皆様にも御協力を賜れれば幸いです。
最後に(新型)コロナ(ウイルス)対策です。
第7波の先、ウィズコロナの新たな経済社会に向けた対応として、専門家や現場の意見も踏まえ、全国ベースでの全数届出の見直し、陽性者の自宅療養期間の見直し、健康フォローアップセンターを含めた新たな療養体制などの全体像はおおむね固まっており、移行の準備を進めています。
しかし、まずは高齢者を始め、リスクの高い方々の命を守り、第7波を乗り越えていくことが優先です。そのため、8月24日に緊急に講ずる国内感染対策について発表いたしました。今後、感染状況の推移を見ながら、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像について、適切なタイミングで改めて公表いたします。
他方、世界各国で国際的な交流が活発化しており、我が国もそうした交流に参加するとともに、円安のメリットをいかす観点からも、水際対策について、9月7日より入国者数の上限を5万人に引き上げるとともに、全ての国を対象に、添乗員を伴わないパッケージツアーによる入国を可能にするなど、更なる緩和を行います。また、MySOS(入国者健康居所確認アプリ)の改善により、空港での入国手続の円滑化を行います。
国内外に数十年に一度の大きな課題が山積しています。初心に帰って、何事も丁寧に説明をし、一つずつ結果を出すことで、国民の皆様からの信頼回復につなげてまいります。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問いただきます。指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、お一人1問、御質問をお願いいたします。まず、幹事社から御質問いただきます。それでは、共同通信、関さん。
(記者)
幹事社、共同通信の関と申します。総理、よろしくお願いします。まずは、新型コロナの感染による療養お疲れさまでした。その上で、政府の新型コロナ対応についてお尋ねいたします。先ほど総理も言及がありましたが、政府が検討しているウィズコロナに向けた新たな段階への移行策については、全数把握の見直しや療養期間の短縮、あるいは無症状者の外出に関する緩和といった話も出ています。先ほど第7波を乗り越えることが優先という言及がありましたけれども、これは第7波の収束までこうした移行策の導入は見送るということになるのでしょうか。今の時点でのお考えをお聞かせください。
また、水際対策については、入国者数の上限を新たに5万人まで引き上げるという方針を先ほど示されましたけれども、政府はこれまでG7並みに円滑な入国ということを目指して取り組んでこられていると思います。これは、今回の緩和で実現できるということになるのか、それとも、最終的には制限撤廃を目指すということになるのだと思いますが、これはいつ頃までに実現を目指すお考えなのか、併せてお聞かせください。
(岸田総理)
まず、全国ベースでの全数届出、あるいは陽性者の自宅療養の在り方、こうしたことについては、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像の中で包括的にお示しした上で、円滑に導入していきたいと思っています。そしてその導入、そしてお示しする時期ですが、もう少し感染の状況を見ながら、確認した上で時期を決定していきたいと思っています。
そして、もう一つの水際対策についてですが、水際対策については本日お示ししたとおり、9月7日より入国者数の上限を5万人に引き上げるとともに、全ての国を対象に、添乗員を伴わないパッケージツアーによる入国を可能とするなど、更なる緩和を行うことといたしますが、今後については、御指摘のように、G7並みの円滑な入国が可能となるよう、内外の感染状況、さらにはニーズ、また世界各国の水際対策、こうしたことを勘案しながら、更に緩和を進めていきたいと考えております。以上です。
(内閣広報官)
それでは続きまして、東京新聞、金杉さん。
(記者)
東京新聞・中日新聞の金杉です。よろしくお願いいたします。安倍晋三元首相の国葬(儀)についてお聞きします。改めて、安倍元首相の御冥福をお祈りし、御遺族にお悔やみを申し上げます。安倍元首相の国葬(儀)実施については、NHKを始め、ほとんどの世論調査で反対が多数に上っています。国葬(儀)を明記した法律や基準がなく、災害のように誰もが納得することではない、国論を二分する安倍元首相の国葬(儀)に予備費を支出することなどについて疑問の声が上がっています。先に国会に諮ることなく、内閣の一存で国葬(儀)実施を決めたことに、率直に誤りだったのではないでしょうか。また、これまでの政府の説明に国民の理解が得られているとは言えません。
国際儀礼、礼節との説明も出てきましたが、大平、小渕元首相の葬儀には、アメリカの現職大統領ら多くの海外要人が来ました。当時は内閣と自民党の合同葬でしたが、これは国際儀礼を欠いていた、礼節を欠いていたとの御認識なのでしょうか。本日午後6時から国葬(儀)に反対するデモが国会前で行われる予定です。反対の声を聞いた上で、国葬(儀)で行うとした葬儀の在り方を見直す考えはありませんでしょうか。
(岸田総理)
まず、国民の皆様の中に様々な御意見があるということ、これは私も十分承知をしております。その上で、先ほども申し上げたように、選挙遊説中の安倍元総理に対する凶行を受けて、これまで内閣(府)設置法や閣議決定を根拠として、国葬儀を実施することを決断し、そして、国葬儀を執り行うこととした理由については、先ほども申し上げたような4点を挙げて説明をしてきたところですが、国葬儀の開催については様々な御批判とともに説明が不十分という御意見を頂いているところです。
この国葬儀の実施を決断した、その判断した総理大臣として、そうした批判、そうした御意見を真摯に受け止め、正面からお答えする責任があるということを強く感じています。そのために国会の場で閉会中審査の形で私自身が出席をし、テレビ入りで国民の皆さんに見える形で国葬儀に関する質疑にお答えするという機会を頂きたいと考えており、一日でも早くこうした場をつくるべく、幹事長、国対委員長に必要な調整をしていただくよう、先ほど指示をしたところであります。政権の初心に帰り、丁寧な説明に全力を尽くして、国民の皆様の御理解を得ながら国葬儀を執り行っていきたいと思っております。以上です。
(内閣広報官)
ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名いたしますので、マイクにお進みください。それでは、日経新聞、秋山さん。
(記者)
日経新聞の秋山です。先日のGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で次世代革新炉の開発、建設について言及されたかと思います。原発については、これまで新増設を想定しないという説明をされてきましたが、これは原発の新増設を事実上認めたものだというふうに広く解釈されていますが、原発をどのように建設していくというイメージを持っていますでしょうか。また、その美浜原発3号機など40年を過ぎた原発などが幾つかありますが、こういったものが念頭にあるのでしょうか。よろしくお願いします。
(岸田総理)
昨今のエネルギーをめぐる内外の情勢等を踏まえれば、国民生活や産業の基盤となるエネルギーを安定的に供給する体制を万全なものとしていく必要があると感じています。このため、将来にわたって我が国のエネルギー安定供給を再構築するべく、あらゆる選択肢を確保しておくことが重要だと考えております。この観点から、GX実行会議、有識者の皆様にも御参加いただいて、是非あらゆる選択肢を排除することなく検討していただきたい、こうしたお願いをしたところであります。その際、これまでと同様に、安全性の確保を大前提とする、これは当然のことであると思います。次世代革新炉として革新軽水炉、新型モジュール炉、高速炉など、様々な研究開発が進んでいると承知をしておりますが、専門家において、こうした技術研究についてしっかりと議論をしていただきたい、こうしたことをお願いした次第です。
いずれにせよ、様々な要素を考慮しつつ、この次世代革新炉の開発、さらには運転期間の延長などについて、年内をめどに専門家の皆様方等にしっかりと御意見を頂きたいと思っています。政府としては、そうした議論をしっかりと見た上で今後の方針について明らかにしていきたいと思っています。ですから、今回のGX会議においては、今、言ったようなあらゆる選択肢を確保するという観点から専門家、有識者の方々に御議論をお願いした、こういったことであるということを御理解いただければと思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の方。フジテレビ、福井さん。
(記者)
フジテレビの福井と申します。よろしくお願いします。国葬(儀)についてお尋ねします。今後、総理は国会の場で自ら説明される考えを示されましたが、国葬(儀)の決定と説明、この順序が逆なのではないかといった厳しい指摘もいまだあります。その一方で、国葬(儀)については各国の首脳級の経験者らの参列が明らかになっておりまして、この機会での総理のマラソン外交にも注目が集まっています。物価高など国際的な諸課題をめぐってどのような議論を行う予定があるのでしょうか。お答え願います。
(岸田総理)
まず、国葬儀の機会に多くの海外要人が訪日することが見込まれており、国葬儀の前日から翌日にかけて、可能な限り集中的にバイ会談を行うことを予定しております。その際には、安倍元総理が培われた外交的遺産を我が国としてしっかりと受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示すとともに、相手国から我が国に示された敬意にしっかり応えていきたいと思っています。
冒頭、国葬儀の開催について、様々な御意見や御批判があるということにも触れられましたが、その点については先ほど来から申し上げておるように、従来から説明は行ってきましたが、まだ不十分だという声にはしっかり応えなければならないということで、国会の場等において私自身、引き続き丁寧な説明に全力を尽くし、国民の皆様の御理解を得ながら国葬儀、執り行っていきたいと考えております。以上です。
(内閣広報官)
それでは、次の方。日本テレビ、高柳さん。
(記者)
日本テレビ、高柳です。よろしくお願いいたします。
(岸田総理)
お願いします。
(記者)
安倍元総理の国葬(儀)についてお伺いいたします。式典にかかる必要はおよそ2.5億円ということですが、警備や海外要人の接遇に相当額かかるのではないかという意見も出ています。国葬(儀)の実施後に金額を示すのではなく、国葬(儀)実施前に警備や接遇の費用の想定金額を示す考えはあるのか、伺います。
(岸田総理)
まず、この費用についての御質問ですが、式場設営に関わる費用のうち、式壇等については中曽根元総理の内閣・自民党合同葬同様のものを見込んでいるところですが、それに加えて、今回、場外での一般献花を実施すること。また、中曽根元総理の合同葬の参列者、約600名でしたが、今回の国葬儀は内外から出席者を受け入れ、約6,000人程度の規模を見込んでいます。そして、それ以外にも海外から来られる要人のための同時通訳の手配ですとか、何といってもセキュリティー対策の経費、こういったものもかかります。
そういったことで、今回、その費用として中曽根元総理の合同葬と比べて5,000万円余り金額が大きくなる、こういった説明をしているところですが、御質問の趣旨は、それ以外にもその警備や海外要人の接遇、こうした費用がかかるのではないか、こういったことについてどうかという御質問の趣旨だと思いますが、その部分については、毎年度の予算において、警備とか、接遇の予算というのは計上しております。今回の警備や接遇についても、過去の合同葬等も同様でありますが、予算に計上している既定予算の範囲内で対応するということを想定しています。
そうした予算の扱いの中で考えていきたいと思いますが、具体的な数字については、特に外国要人の方々、いろんな国々から様々な申出を、今、受け付けているところですが、最終的に外国要人の数がどのぐらいになるかによって、接遇費用、そして、それに対応する警備の費用、これは変わっていくわけですから、その状況をしっかり見極めた上でないと、そうした数字について明らかにするのは難しいというのが現状であると思っています。そうしたことから、先ほど申し上げたように、既定予算の範囲内で対応しようと思っていますが、具体的な数字については、そうした外国要人等の数と具体的なものが確定してからでないと、数字を示すことができない、できるだけ早く示すよう努力はしていく、こういった説明をさせていただいていると承知をしています。以上です。
(内閣広報官)
それでは、次の方、朝日新聞の石松さん。
(記者)
朝日新聞の石松です。よろしくお願いします。
旧統一教会と自民党との関係についてお尋ねします。総理は、先ほどのぶら下がりで、旧統一教会との関係を絶つことを党の基本方針にするという説明がありましたが、旧統一教会との関係の中心には、常に安倍(元)総理の存在があったりとか、選挙の協力に関しては、安倍(元)総理が中核になっていた部分があると思いますが、今後、旧統一教会との関係を絶つ上で、安倍元首相との関係を検証するなり、見直すなどの考えは今のところございますでしょうか。よろしくお願いします。
(岸田総理)
先ほども申し上げましたが、今日までの関係については、それぞれ既に点検するようにという指示を出しているわけですが、その点検の結果について、党としてしっかり取りまとめることが大事だということを申し上げています。その中で、党としてそれをどのように公表していき、国民の皆さんに説明をしていくのか、これが重要なポイントになってくると思います。御指摘の点については、安倍(元)総理がどのような関係を持っておられたのか、このことについては、御本人が亡くなられた今、十分に把握するということについては、限界があるのではないかと思っています。
ただ、いずれにせよ、党として先ほど申し上げました方針に基づいて、党全体のありようについて、しっかりと取りまとめていくことは重要であると思いますし、更に大事なのは、当該団体との関係を絶つということ、従来はそれぞれ点検をし、そして、それぞれが見直しをするという指示を出してきたわけですが、それぞれに任せるのではなく、党の基本方針として絶つということを明らかにし、そして、党として所属国会議員にそれを徹底させるということ、これを今一度確認した、ここに大変大きなポイントがあるのではないかと認識しています。是非こうした点検の結果の取りまとめと併せて、これから当該団体との関係について疑念を招くことがないように、党として徹底していきたいと考えております。以上です。
(内閣広報官)
それでは、次の方、RADIOFRANCEの西村さん。
(記者)
RADIOFRANCEの西村と申します。宗教団体について質問させていただきます。記者として、宗教2世、宗教3世とか、取材をすればするほど、宗教団体の問題はやはり政治家との関係のことだけでなく、幾つかの宗教団体の活動による子供虐待とか、そういった問題は多いと思います。今までより宗教団体の活動をきちんと監視すべきではないでしょうか。信者やその家族向けの相談窓口を設置するのが急務ではないでしょうか。今までの宗教2世、3世の問題が完全に無視されたと思いませんか。
(岸田総理)
先ほども説明させていただきましたが、政治家がそうした社会的に問題を指摘されている団体とどのように付き合っていくのか、社会的な問題を指摘されている団体との関係を絶つということ、このことについてもしっかりと対応していかなければいけませんが、正にもう一点の重要なポイントが、こうした団体によって被害を受けておられる方々に対して、政治あるいは政府がどのように対応していくのか、これをしっかりと政府として大きな問題意識を持って対応していくということ、これがもう一つ大変重要なポイントになるのだと思います。その後者の部分について、しっかり対応しなければならないという問題の指摘、これは全くそのとおりだと思います。
だからこそ、先ほど来、冒頭の発言の中でも申し上げたように、政府としましても、法務大臣を議長とする関係省庁会議を立ち上げる、また、消費者庁において、悪質商法を始めとする、こうした問題についてしっかり対応するということ等を通じて、被害に遭われている方々に対する相談体制や救済のありようについて、しっかり対応していかなければならないと思います。政府として、先ほど言いましたような取組をしっかり進めて、御指摘の後者の部分について、しっかり対応していくよう努力をしていきたい、このように思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の方、テレビ朝日の原さん。
(記者)
テレビ朝日の原です。新型コロナ対策についてお伺いいたします。先ほどお話のありました、現在検討を進めている全体像についてなのですけれども、これは第7波が収束した後の話ということではありますけれども、このタイミングで対策を緩和することに不安を感じている人も多くいるかと思います。というのは、感染対策と社会経済活動の両立という側面が前面に出ていまして、専門家が分析した科学的な根拠がなかなか見えてこないということが一因にあるかと思います。今後、対策を緩和できると判断できる科学的な根拠というのは十分に蓄積されていて、それはどこかで公表、御説明されるお考えはありますでしょうか。また、もし対策の緩和後に感染が拡大した場合というのは、再び対策を強化するお考えでしょうか。
(岸田総理)
まず申し上げることは、新たな段階への移行、全体像を示すということで、全国ベースでの全数届出の見直しですとか、陽性者の自宅療養期間の短縮ですとか、こうした議論を行っているわけですが、これはあくまでも専門家の皆さんの提言を踏まえて検討しているということであります。そうした専門家の意見を無視して何か進めているというようなことは全くないということ、専門家の皆さんとも意思疎通を図りながらこうした議論を行っているということ、これはしっかり強調をしておきたいと思います。
これまで我が国において6回の感染の波を乗り越えてきました。様々な科学的知見、エビデンスが積み重ねられてきました。我が国全体として対応力は強化されていると思っています。あわせて、諸外国においても様々な知見が集積されている。こうした国内外において蓄積された知見を踏まえて感染防止と社会経済活動の両立、これを強化するべく取組を進めていきたいと思っています。専門家などによる提言についても、この観点から行われているものだと認識をしています。
もちろんこれは命を守ることが最優先であり、仮に今後新たな大きな変異が生じるとか、結果として医療体制が逼迫(ひっぱく)するとか、そういった事態になる場合には、これは柔軟に対応していかなければならないと認識しています。御指摘のように、専門家の意見、これもしっかりと取り入れた上で、政府としては感染防止と社会経済活動の両立に向けてしっかりと判断を行っていきたいと考えています。
(内閣広報官)
それでは、西日本新聞の河合さん。
(記者)
原発の新増設について伺います。先ほども総理は強調されていましたけれども、原発の安全性を確保する上で総理が重視する点、それと、可能な限り原発依存度を低減していくとしていた従来の政府方針を撤回するのかどうか、考えをお聞かせください。
(岸田総理)
まず、2番目のほうからお答えすると、可能な限り原発依存度を低減するという方針、これは変わりません。この方針は、徹底した省エネや再エネの最大限導入を進めていく中で、震災前の原子力比率が約3割であった状況から、可能な限り原発依存度を低減させ、2030年には原子力比率20~22パーセントを目指し、さらには2050年にカーボンニュートラルを達成する、こういった趣旨で可能な限り原発依存度を低減するというこの方針を打ち出していました。こうした方針は全く変わらないということであります。2030年、あるいは2050年の目標を達成するために、今回、原子力について、次世代革新炉の検討も含め、あらゆる選択肢を排除せず、有識者の皆様方に検討してもらいたいということをお願いした次第であります。
そして、1つ目の安全性の方の話ですが、そうした取組を進める際に、これまでと同様に安全性の確保を大前提とするということ、これは当然のことであり、これも変わらないと思っています。科学的な見地から原子力の安全を確保していく上では、今後とも独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていくという方針、これは変わらないと思っております。是非、こうした基本的な部分はしっかりと維持しながら、エネルギーを安定的に供給する体制を万全なものとするために、あらゆる選択肢を排除せずに議論を行っていきたい、このように思っています。以上です。
(内閣広報官)
それでは、次の方。中国新聞の樋口さん。
(記者)
中国新聞の樋口です。ロシアのゴルバチョフ元大統領の死去について伺います。総理は、今年11月に広島市で開く国際賢人会議について、一昨年に自著の中で構想を示された際に、ゴルバチョフ元大統領、冷戦終結に導いた功績があると思いますけれども、核兵器のない世界の先導役として是非来てほしいという構想も示されておりましたけれども、そういったことも踏まえて、改めて御逝去を受けての見解と、これまでの功績についてのコメントをお願いします。
(岸田総理)
ゴルバチョフ元大統領の御冥福をお祈り申し上げたいと思いますが、ゴルバチョフ氏はソビエト連邦の最高指導者として第二次世界大戦後の欧州の分断と東西対立の克服に重要な役割を果たし、米ソ間では歴史上初めて核兵器の削減に合意をし、冷戦を終結に導いた人物であると認識をしております。日本との関係でも、1991年に国家元首として初めて訪日した際に長崎を訪問したほか、大統領退任後の1992年には広島を訪れており、核廃絶に賛同する世界のリーダーとして大きな功績を残されていると承知をしています。大きな戦略的ビジョンと果断な実行力を有していたゴルバチョフ氏が果たした役割、大変大きなものがあると思います。改めて、ゴルバチョフ氏の御功績をしのび、謹んで哀悼の意を表したいと思います。以上です。
(内閣広報官)
それでは、フリーランスの安積さん。
(記者)
フリーランスの安積です。安倍元総理の国葬議についてお伺いいたします。まず、安倍元総理に御冥福をお祈りしたいと思います。総理が先ほど述べられた4点にわたる安倍元総理の功績については皆さん理解しているところだと思いますが、一方で、総理現職で倒れられた大平(元)総理、それから小渕(元)総理については、内閣・自民党合同葬ということになっています。論争があるのは客観的基準がないからだと思うのですけれども、国葬議について客観的な基準をお決めになる御予定はあるのでしょうか。また、合同葬の場合は、国が費用の半分、党が費用のまた半分を持つわけなのですけれども、国葬議の場合は国が100パーセント費用を持つわけです。国葬議にした場合に国の負担が増えるわけなのですけれども、これについてどういうふうに御説明されるのでしょうか。それと、自民党総裁として、安倍元総理の自民党葬、これはお考えになっているのでしょうか。以上、よろしくお願いします。
(岸田総理)
まず、安倍元総理の国葬議については、先ほども申し上げましたが、内閣府設置法あるいは閣議決定、こうしたものを根拠として実施することを決定したものです。そして、この理由についても先ほど触れさせていただきましたが、憲政史上最長の8年8か月にわたり内閣総理大臣の重責を担ったこと、そして民主主義の根幹たる選挙運動中での非業の死であったこと、このことについては他に例を見ないものであると思います。
そして、さらに先ほど申し上げた東日本大震災からの復興、日本経済の再生、あるいは外交など大きな実績を残された。そして、海外からの評価ということについても、多くの国の議会で追悼決議を行う、あるいは政府が服喪に関する決定を行う。また、公共施設のライトアップを始め、様々な形で、それぞれの国の国全体を巻き込んでの敬意と弔意が表明されています。さらには、各国要人から寄せられている追悼メッセージの多くは、日本国民全体に対する哀悼の意を表する、こういった趣旨となっています。こうした状況を踏まえて、我が国としても敬意と弔意を表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、国を挙げ、礼節を持って海外からの参列者をお迎えする形で葬儀を行うことが適切である、こうした判断を行ったという説明を行ってきたところであります。
そして、基準を設けるつもりはないのかという御質問の趣旨でありましたが、こうした状況について、そのときの政府が総合的に判断をし、それを決定するというのがあるべき姿だと思います。基準を準備をしておいて、それを当てはめるというのではなく、こうした国際的な状況、あるいは国内における状況、さらには、こうしたお亡くなりになるまでの様々な経緯、こうしたものを総合的に、時の政府が責任を持って判断をする、これがあるべき姿だと思っております。
いずれにせよ、こうした理由であったり、経緯であったり、様々な手続であったり、国民の皆さんの様々な御意見や御批判に対して、政府として丁寧な説明に全力で努力を尽くしていきたいと思っております。以上です。
(内閣広報官)
それでは、次の方、北海道新聞、石井さん。
(記者)
北海道新聞の石井です。よろしくお願いします。先ほど総理は冒頭の発言で初心に帰りたいということを繰り返しおっしゃっていましたけれども、総理御自身、何か初心を忘れていたという意識がおありなのか。また、政治に対する信頼が揺らいでいるということなのですけれども、政権与党の中で何かおごりとか慢心とか、何かそういう、具体的にどういったことが至らないというふうにお感じになっているのでしょうか。
(岸田総理)
具体的に自分自身が、自民党がどうかということよりも何よりも、国民の皆さんの様々な意見や反応を聞く中で、政治の信頼が今、揺らいでいるという雰囲気を感じている、このことを深刻に受け止めるということを申し上げております。初心に帰ってということで、昨年の8月、自民党総裁選挙への立候補出馬の会見を行いましたが、その際に、信なくば立たず、こうした政治の信頼が何よりも大事だということを強調して、総裁選挙立候補を表明しました。我が国の民主主義を守る、こういった言葉も使ったと記憶しています。あのときの思いを今一度思い返して、こうした国民の皆さんの厳しい声にしっかり応えていく、この思いを新たにしなければいけない、このように思っているところです。是非そうした思いを形にできるよう、これから努力をしていきたい、このように思っております。
(内閣広報官)
読売新聞、海谷さん。
(記者)
読売新聞の海谷です。よろしくお願いします。旧統一教会問題についてお伺いします。この問題は内閣支持率の下落につながるなど、政権運営にも影響を与える事態になっています。総理としては、この問題がなぜここまで政治不信を高めることになってしまったとお考えでしょうか。また、自民党として全所属議員の調査を始め、党の基本方針としても当該団体との関係を、所属議員を絶つことにするとも表明されましたが、ここまでの対応に至るまでこれだけの時間を要してしまった理由は何だったのでしょうか。小出し、小出しとも言えるこれまでの対応が不信と疑念を大きくさせたという面もあったと思うのですが、総理の認識をお聞かせください。
(岸田総理)
まず、世論調査等で支持率が下がっていることについては、先ほど申し上げたように、旧統一教会の問題、国葬儀の問題などがあり、その中で、政治の信頼が揺らぎつつある、こうしたことが大きいのだと思っています。そして、旧統一教会の問題になぜ時間がかかっているかということでありますが、これは、世の中において次々と指摘が行われているように、何十年にわたって、長きにわたって様々な関係があった、こうした長い関係について、今一度明らかにしていく。その際に、自民党として時間がかかってきた、こうしたことではないかと思っています。
宗教団体と政治の関係はどうあるべきなのか、こうした基本的な問題にも思いをめぐらせながら、どうあるべきなのか、どうあるべきだったのか、こうしたことについて実態を明らかにしていく、こうした取組が今日まで続けられてきたと思っています。是非こうした実態について党として取りまとめ、明らかにする。そして、党の方針として関係を絶つ、こうしたことを徹底していくことによって信頼回復につなげていきたいと思います。
あわせて、こうしたことに真剣に取り組むのと併せて、今、我が国は数十年に一度の大きな課題が山積をしています。(新型)コロナ(ウイルス)、経済、外交、防衛力、あるいは少子化問題、こうした重要課題についてしっかりと議論を積み重ね、そして、見える形でその結果を出していく、こうしたことを行うことによって信頼回復につなげていきたい、このように思います。以上です。
(内閣広報官)
それでは、恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。それでは、ビデオニュースの神保さん。
(記者)
ありがとうございます。ビデオニュース・ドットコムの神保です。総理、旧統一教会問題について、先ほどのフォローアップになるのですが、今回結局、100人を超える自民党の議員が問題のある団体、しかも、外国の団体ですよね、そこと接触を持っていたことが明らかになった。総理は先ほど、しっかり調べて発表して、とにかく今後、当該団体とは関係を絶つということをおっしゃいましたけれども、まず、総理の御認識を伺いたいのは、これは、旧統一協会という団体固有の問題なんでしょうか。つまり、(旧)統一教会の方が何か特別なことをやったからこういうことが起きたのか。あるいは、総理、今の日本の政治の体制、あるいは政党の体制、選挙の体制も含めてで結構ですが、何らかの隙と言いますか、弱点と言いますか、欠陥があって、このような形で、例えば自分の身分を隠して国会議員にアプローチすれば、簡単に中に入れてしまうというような状態があるとすれば、これは単に当該団体との関係を今後絶ちますというだけでは済まない問題である可能性もあると思うのですね。今回総理の今後の対応の中に。
(内閣広報官)
質問を簡潔にお願いいたします。
(記者)
旧統一教会だけを対象にしてお話しされていましたけれども、そのような構造的な問題のある可能性やそのおそれ、あるいはその対応についてのお話がなかったので、もしそこについて、総理、お考えがあれば、お願いします。
(岸田総理)
今の点、なかったというふうに捉えられたのであれば、私の説明不足だったと思います。先ほど3点申し上げました。1点目は、点検した結果の取りまとめ、2点目が、当該団体との関係を絶つことでありますが、3点目として、今後、社会的に問題が指摘される団体との関係を持つことがないよう、党におけるコンプライアンスチェック体制を強化する。これは当該団体だけではなく、今後、社会的に問題がある団体との関係について、しっかりと判断ができる体制を党の中につくっていくという点を申し上げたつもりです。
この部分において、御指摘の点についてしっかり応えていくことは重要だと思いますし、あわせて、宗教団体であっても、これは社会の一員でありますから、関係法令を遵守しなければいけない、これは当然のことでありますから、政府として霊感商法等の被害者の対応に万全を期すこと、これももう一点の大きなポイントとして重要な点だと思っています。
政治と団体との関係を、どうあるべきかという課題と、もう一つは、実際被害に遭っておられる方がおられる、こうした方々にどう寄り添うのか、相談を受け、そして救済をするのか、これも政治の大きな役割だと思います。この2点目、後者の部分についても政府としてしっかり力を入れていくことが重要だと思います。こういった切り口から、まずは、当該団体との関係についてしっかりと整理しなければならないと思いますが、それ以外の社会的な問題を起こしている団体が生じた場合にどう対応していくのか、こういったことについてもしっかり政治の責任を果たしていきたい、このように思っています。
(記者)
選挙のボランティア。
(内閣広報官)
すみません。
(岸田総理)
今後について、それについてそうした体制をつくるように幹事長に指示を出したところでありますので、具体的にどうするかということについては早急にしっかりまとめたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、最後、産経新聞、田村さん。
(記者)
産経新聞の田村です。安倍元総理の国葬(儀)について、改めてお伺いしたいと思います。政府は今回、各府省に弔意表明を求める閣議了解を見送りました。過去の首相の葬儀の大半では行っており、異例の対応ということですが、そうした判断に至った経緯を改めてお聞かせください。また、当日、各府省で弔旗の掲揚や黙禱(もくとう)などは行うのかどうか、それについても教えてください。
(岸田総理)
まず、閣議了解についての質問ですが、吉田元総理の国葬儀の際には、各省庁における弔意表明に加え、各公署、学校、会社、その他一般においても同様の方法により、哀悼の意を表するよう協力を要望するため、地方公共団体や教育委員会等を所管する大臣を含め、閣議了解を行った、こうしたことでありました。
一方で、今般の国葬儀の実施に当たっては、国民一人一人に弔意の表明を強制するものであるとの誤解を招くことがないように、国において閣議了解は行わず、地方公共団体や教育委員会等の関係機関に対する弔意表明の協力方の要望も行う予定はありません。各府省における弔意表明については、葬儀委員長決定として、従来の各府省における弔意表明と同じく、弔旗を掲揚するとともに、葬儀中の一定時刻に黙禱をする、このようにした次第であります。以上です。
(内閣広報官)
以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。大変恐縮ですが、現在挙手いただいている方につきましては、後ほど1問担当宛てにメールでお送りください。後日、書面にて回答させていただきます。それでは、御協力ありがとうございました。
記者会見の動画
岸田内閣総理大臣記者会見のフル動画は官邸ホームページでご覧ください。