衆議院議員
岸田文雄公式サイト

活動報告

宏池会と語る会

宏池会の会長を務めております岸田文雄でございます。本日は宏池会と語る会、ご案内させていただきましたところ、かくも大勢の皆さま方にご参加をいただきました。本当に心から厚く御礼を申し上げます。

私たち宏池会は昨年、結成60周年という大きな節目を迎えました。今年は61年目という新しいスタートの年となりました。私はこの時にあたって、改めて「上善如水(じょうぜんはみずのごとし)」という言葉をかみしめています。「上善如水」、日本酒ファンの皆さんは新潟にこういったお酒の名前があることをご存じだと思いますが、ここはお酒の話ではなくてですね、老子の言葉としての、『最も優れた生き方は水のようなもの、最も善なる生き方は水のようなものである』、こういった老子の教えの言葉であります。
老子はこの言葉に続けてこんなことを言っています。『水というのはあらゆるものに恵みを与えながら、争わずして、最も人が嫌がる低いところに位置を占める。だからして、このこういった生き方こそ、道、あるいは真理に最も近いんだ』という教えを残しています。この教えのように、水というのはしなやかに流れて、そして岩を避け、そして最も低いところに位置をし、田畑を潤して、そして万物の命を支えている。こうした生き方こそ王道であるということなんだと思います。

私たち宏池会は結成されてから今日まで、水のように、しなやかに、リベラルで自由な社会を目指し、そして権力には謙虚に向かい合って、そして今、国民が求めているものは何なのか、この徹底した現実主義に基づいて、政策を考えてきました。こうした政治の王道を歩んできたと自負をしています。
しかしながら、この「上善如水」という言葉はもう一つ大きな意味を抱えています。老子は言います。「水のように最も柔らかなものこそ、最も固いものを突き動かす力を持っている」と。穏やかな水の流れも一時、集まって激流となったならば岩を突き動かし、地形を変えて物事を動かしていく、こうした力になっていくということです。柔らかな水こそ、物事を動かす力を持っている、こういったことであります。
今、私たちの国は内外に大きな課題を抱えています。国の中にあっては少子高齢化、人口が減少する中にあっても社会や経済の活力を維持するためにはどうしたらいいのか、さまざまな取り組みを進めています。そして国の外にあっては北朝鮮問題をはじめ大きな厳しい現実が存在いたします。
その中にあって、昨今は森友問題、加計問題、あるいは公文書問題など行政の信頼、そして民主主義の根底が問われるなど、様々な問題が起こっています。政府にはこうした事態を前にして、政治課題を前にしてぜひ襟を正してしっかりと信頼回復に努めてもらわなければなりませんし、我々も党としてチェックアンドバランスの下、政府与党一体となって信頼回復に努めなければならなりません。
その中で私たち宏池会は力を結集し、一丸となってこの大きな岩を動かす、こうした力を結集して、課題に立ち向かっていかなければいけない、政治課題を乗り越えていかなければいけない、こういった立場にあると思っています。

そしてその際のキーワードは「バランス」だと思っています。お手元のリーフレットを是非ご覧いただきたいと思います。我々の考えを整理させていただきました。これから我が国が困難に立ち向かうにあたって、トップダウンからボトムアップへ政策の視点を変えていくべきであるというようなこと、あるいは対症療法から持続可能性へ、経済や財政、社会保障をしっかりと見直していかなければならないということ、更には自律した個人の下に個性やあるいは多様性、これをしっかりと大事にする社会を作っていく、こうした三つの理念に基づいてしっかりとしたバランスを考えていくべきではないか、更には平和ということについてもしっかり書かせていただきました。ぜひこうした宏池会の目指す社会、このリーフレット、しっかり見ていただき、多くの皆さま方にご理解をいただきたいと思います。

宏池会という政策集団は、ややもしますと「お公家集団」などと揶揄されたこともありました。「おとなしい」「穏やかだ」という評価もいただくことがあります。また、私自身も「飛べない男」だとかですね、「飛ばない男」だとか、揶揄されている、こういったことでもありますが、こういった我々だからこそ、水の持つ二面性というものをしっかりと念頭に置きながら、宏池会一丸となって岩を動かしていく、国難に立ち向かって国を動かしていく、こうした決意を新たにしなければいけないのではないかと思いますし、いざというときは我々はやるんだという思いをしっかりと示さなければいけないのではないか、こうしたことを改めて皆さま方に訴えさせていただく次第であります。
ぜひ、多くの皆さま方のご理解、ご協力、引き続きまして宏池会に賜りますことを心からお願い申し上げると同時に、本日、かくも大勢の皆さま方にお集まりいただきましたことを心から厚く御礼申し上げまして、主催者としてご挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございます。
 

平成30年4月18日「宏池会と語る会」会長挨拶