衆議院議員
岸田文雄公式サイト

活動報告

G20ボン外相会合

 2月16日(木曜日)及び17日(金曜日),G20外相会合がボン(ドイツ)において開催され,我が国からは岸田文雄外務大臣他が出席した。G20メンバーに加え,招待国(スペイン,シンガポール,オランダ,ノルウェー,ベトナム(APEC議長国),招待機関(国際連合(UN),世界銀行,アフリカ連合委員会(AUC))が参加した。
同会合では,「国際秩序の形成―危機管理を超えた外交政策」のテーマの下,「持続可能な開発のための2030アジェンダ(第1セッション)」,「複雑な世界における平和の維持(平和の持続)(第2セッション)」及び「アフリカとの協力(第3セッション(ワーキングランチ))」に関して議論が行われるとともに,「ガブリエル独外相主催夕食会」が開催されたところ,概要以下のとおり(岸田大臣は,第2セッション及び独外相主催夕食会に出席。)。なお,アルゼンチン外相から,明年もブエノスアイレスでG20外相会合を開催するとの発言があった。
本会合の機会を捉えて,岸田大臣は,日米韓外相会合の他,中国韓国,ロシアと二国間会談を実施した。また,4月のG7外相会合に先立ち,議長国イタリアや,英国とも二国間会談を行った。更に,マルムストローム欧州委員と日EU・EPAについて意見交換を実施した。

1 各セッションの概要

(1)第1セッション:持続可能な開発のための2030アジェンダ

 冒頭,グテーレス国連事務総長より,資金動員と気候変動対策,アフリカ開発の重要性,教育と保健分野の取組等について基調発言が行われた後,「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標達成に向けた取組の推進について意見交換。他の出席者からは,難民問題,貧困対策,教育,ジェンダー,グローバリゼーションの課題に対する取組の重要性等について発言があった。

(2)第2セッション:複雑な世界における平和の維持(平和の持続)

 紛争予防の重要性と「平和の持続」の推進について活発な意見交換が行われた。グテーレス事務総長から,「平和の持続」の推進に対する決意が表明され,また,他の出席者からは,「平和の持続」において紛争予防が鍵であること,平和・安全,開発,人権等の包括的な取組が必要であること,G20としてグテーレス事務総長をはじめとする,「平和の持続」に向けた国連の取組をサポートすべきこと等について発言があった。

(3)第3セッション(ワーキングランチ):アフリカとの協力

 冒頭,アフリカ連合委員会から,アジェンダ2063に沿った開発協力の推進について,また,モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表から,アフリカのオーナーシップに基づく成長のためのパートナーシップの在り方について,それぞれ基調発言が行われた後,アフリカにおける持続可能な成長の促進及び平和と安定の確保に向けた国際社会の取組のあり方につき,活発な意見交換が行われた。

(4)我が国の主な発言概要

 岸田大臣より,概要以下の発言を行った。

(ア)紛争終結は,平和の端緒だが,それだけでは「平和の持続」は確保されない。「平和の持続」のためには,紛争予防と平和構築が鍵。紛争予防と平和構築の中心は,制度構築やエンパワーメント等,人間の安全保障の視点に立った支援。日本は,紛争予防と平和構築に資する,中長期的な国づくりや社会安定化における強みを活かし,特にアジアやアフリカで貢献。人道支援と開発協力を並行させる「人道と開発の連携」も強化。

(イ)「平和の持続」における国連の役割は大きい。グテーレス国連事務総長のイニシアティブの下,紛争予防の重要性が再認識されている。事務総長のリーダーシップの下,国連における平和構築の取組の縦割りの打破が進むだろう。日本は,平和構築基金への累計4,850万ドルの拠出に加え,平和構築委員会において議長国・韓国と協力して同委員会の取組の改善や,安保理と同委員会の関係強化に尽力。

(ウ)昨年7月,自分(大臣)は,議長を務めた「アフリカにおける平和構築」に関する安保理会合において,(1)「制度」,(2)「人材」,(3)「信頼」の構築に加え,(4)平和構築の手法の「革新」が平和構築の鍵だと強調。G20各国の知恵と技術で,「平和の持続」への貢献を強化することを呼びかけたい。

 また,我が国関係者より,概要以下の発言を行った。

(ア)より公正で平和な世界の実現に向け,2030アジェンダが果たす役割は重要。G20として2030アジェンダ実施に貢献していくためにも,まずはG20各国が国内実施も含めて着実に取り組むことが必要。

(イ)日本では,安倍総理大臣を本部長,全閣僚を構成員とする持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置別ウィンドウで開くし,政府一体で取り組む体制を確保した上で,国内・国際の両施策を束ねたSDGs実施指針を策定。日本は本年7月の国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)でのレビューに参加予定。今後も,SDGsの認知度向上や,CSRを超えたコアビジネスとしての民間企業の参画拡大に向けて,率先して取り組んでいく。

(ウ)G20としても,昨年のG20杭州サミットで策定したG20行動計画などの効果的なイニシアティブを通じて,国内実施と国際協力の両面でアジェンダ実施を推進していくことが重要。気候変動や保健等の個別の分野で国連や非国連主体,官民といった多様なアクターの間での連携を構想し,推進していくことも,G20として貢献できる分野。

2 独外相主催夕食会の概要

  • 独外相主催夕食会

(1)各国・国際機関の代表本人のみが出席し(通訳以外に同席なし),議題を定めない形で,自由かつ率直な意見交換が行われた。冒頭,グテーレス国連事務総長から,第二次大戦後の国際秩序を振り返りつつ,ルールに則った国際秩序の形成,並びにそのための国民間,国家間,さらには国連はじめ国際機関に対する信頼醸成が重要である旨述べた。他の出席者からは,国際社会がルールを尊重すること,また,サイバーやインターネットはじめルールの形成途上のある分野において国際社会として適切に対応していくことの重要性についても累次指摘があった。

(2)岸田大臣より,サイバーはじめ従来ルールが必ずしも形成されていなかった分野における適切なルール形成の重要性に加え,既存のルールを遵守しなかったり,または都合よく歪曲したりすることも問題であり,国連やG20をはじめとする国際社会がルールを着実に遵守することの重要性を訴えた。