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活動報告

第1回日露外務・防衛閣僚協議(「2+2」)

11月2日,第1回日露外務・防衛閣僚協議(「2+2」)が開催されたところ,概要以下のとおり。日本側からは,岸田外務大臣及び小野寺防衛大臣が,ロシア側からは,ラヴロフ外務大臣及びショイグ国防大臣が,それぞれ出席した。(協議は9時20分から11時15分,共同記者会見をはさんでワーキング・ランチは12時25分から13時10分。)

1 アジア太平洋地域における安全保障情勢を踏まえた日露双方の安全保障・防衛政策

(1)岸田大臣から,日本周辺地域における安全保障環境はかつてなく厳しさを増しているとの情勢認識を述べ,日本が地域・国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していくとの安倍政権の「積極的平和主義」につき,国家安全保障会議(NSC)の設置,国家安全保障戦略(NSS)の策定,集団的自衛権の検討等を説明し,日本の平和国家としての根幹が不変であることを強調した。

(2)また,小野寺大臣から,同様の情勢認識を示しつつ,防衛大綱の見直しに関する検討状況を説明した。

(3)ラヴロフ外相・ショイグ国防相から,地域情勢の見方が示された。ラヴロフ外相は,日本の安全保障政策についての説明に謝意を表明し,理解を示した。

2 日露間の安全保障・防衛分野における協力

(1)4閣僚は,新たにテロ・海賊対策分野における共同訓練につき一致したほか,防衛・国防大臣の相互訪問の定例化等の防衛交流の強化,サイバー安全保障協議の立ち上げ・定例化等,幅広い分野で安全保障・防衛協力を進めることで一致した。(今回新たに一致した各種協力のファクトシート(PDF)PDF

(2)領空侵犯事案が発生した場合の検証,再発防止につき日本側から問題提起し,引き続き協議していくこととなった。

3 アジア太平洋地域の多国間枠組みにおける協力

(1)ラヴロフ外相から,ロシアの構想である「アジア太平洋地域における安全保障の新しいアーキテクチャー」について説明があり,今後東アジア首脳会議(EAS)での議論に日本も積極的に参加することへの期待を表明した。

(2)これを受け,岸田大臣から,EAS,ASEAN地域フォーラム(ARF),拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)等の既存の協力枠組みをそれぞれの特性に応じて上手く活用していくことが重要である,EASにおけるロシアの積極的な取組を評価すると述べた。また,アジア太平洋地域における喫緊の課題は,力による威嚇及び力の行使に訴えることなく,国際法の原則に従って紛争を平和的に解決するメカニズムを探求することであると指摘し,ロシアの提案については今後EASの枠内のワークショップで議論されると承知しており,その中で更にロシアの考え方について理解を深めていきたい旨述べた。

4 ADMMプラスにおける協力

(1)小野寺大臣から,ADMMプラスは,アジア太平洋地域における唯一の政府主催の国防相会合として重視していることを述べた上で,日本は人道支援・災害救援(HA/DR)専門家会合の共同議長国に就任していることに触れた。また,防衛医学専門家会合の共同議長国に就任したロシアに対して,日本が議長国として蓄積した知見を共有したい旨述べた。

(2)これに対してショイグ国防相から,アジア太平洋地域に安全保障と協力の雰囲気を形成するための共同努力が必要であるとして,ADMMプラスにおける両国の連携の重要性を指摘した。

5 アジア太平洋地域におけるミサイル防衛システムの展開

(1)ショイグ国防相から,日本のミサイル防衛はロシアへの脅威でないと評価しているが,米国が進めるグローバルなミサイル防衛システムは,今後,アジア太平洋地域の戦略バランスを崩すおそれがあり得るとして懸念が表明された。

(2)これに対して小野寺大臣から,日本の弾道ミサイル防衛システムはあくまで日本の防衛のためにあることを説明した。

6 国際安全保障情勢

(1)北朝鮮
岸田大臣から,北朝鮮は対話路線を継続しているように見えるが,核放棄に向けた北朝鮮の具体的行動が必要である旨強調し,引き続き非核化の目標に向け連携していくことで一致した。また,岸田大臣から,拉致問題について引き続きロシアの理解と協力を求めた。

(2)中国
岸田大臣から,日中関係は日本にとり最も重要な二国間関係の一つであり,日本は個別の問題が日中関係全体に影響を及ぼさないよう大局的観点から関係を進めていくべきとの考えである,日本は中国との対話にオープンであり,自分も王毅外交部長といつでも会う用意がある,今後とも粘り強く中国側に自制するよう求めるとともに,対話を通じた関係の改善を呼びかけていきたい旨述べた。

(3)シリア
ラヴロフ外相は,シリア問題に関するジュネーブ2への日本の参加支持を表明し,岸田大臣から謝意を表明した。

7 その他

ロシア側から,次回の「2+2」について来年モスクワで開催するとの提案があり,双方の都合のよい時期にモスクワで開催するよう,外交ルートで調整されることとなった。