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活動報告

公共工事品質確保推進法

2005/03/18

公共工事の品質確保、ならびに、民間技術力の活用による価格と品質で総合的に優れた調達の推進を目的にした、「公共工事の品質確保に関する法律」が、この度成立しました。
私は、自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の検討部会長として、この法案に関わってきました。

公共工事は、目的物が完成し使用に供されてから初めて評価が得られるものです。すでに市場で評価を得ており、調達時点において品質を確認できる物品の購入とは基本的に異なり、施行者の技術力等によって品質が左右されます。そのため公共工事の品質というものは、適切な技術力を持つ企業を施行者として選定し、発注者が適切な監督・検査を実施して、はじめて確保されるものです。そのために、入札・契約時点で技術力の評価の必要性を明確に位置付ける等、法令上、物品の調達とは異なる取扱いが必要だと考えます。

しかし現状において多くの地方公共団体では必要な技術力評価が実施されていなかったり、監督要領や検査要領さえも整備されていない実体があり、不良工事の見過ごしが起こり得るきわめて憂慮すべき事態となっています。本来、公共工事の発注者は、品質確保のために適切な受注者の選定・監督・検査等を責任を持って実施しなければなりませんが、現状では、地方公共団体をはじめとして発注者が備えておかなければならない技術力が不足する場合が生じています。したがって、発注者を支援するための仕組みの制度化が必要であると言えます。

また、現在の我が国の厳しい財政状況を考えると、効率的な執行をさらに進めなければならないでしょう。そのためには、価格と品質の両面で総合的に優れた調達を追求していく必要があり、民間の提案力を最大限活用していくための制度の整備が必要だと考えています。

本法案は、以上のような、物品調達とは異なる公共工事の特性、公共事業の品質をめぐる危機的な状況等を踏まえ、公共工事の品質確保、ならびに、民間技術力の活用による価格と品質で総合的に優れた調達の推進を目的に、これに必要な事項について、会計法、地方自治法の特例的な事項も含め定めたものです。

以上を踏まえた上で、次のようなポイントを規定しています。

 ○公共工事の発注者責任の明確化に関する規定
・発注者は、仕様の作成、入札方法の選択と契約の相手方の決定、監督、検査、工事成績評定等を適切に実施しなければならない

○『価格競争』から『価格と品質で総合的に優れた調達』への転換の推進に関する規定
・発注者は、経済性に配慮しつつ、価格及び品質の両面で総合的に優れた調達をしなければならない
・発注者は、個々の工事の発注に際して、品質に関する技術提案を求め、その評価結果を契約者の決定に反映するよう務めるべき
・発注者は、企業、技術者の成績、経験等のデータを作成、保存しなければならない

○技術提案を求める場合の特例
・発注者は、技術提案に対する改善を求める場合、及び、技術提案の審査の結果を踏まえ予定価格を定めようとする場合は、学識経験を有する者から技術提案の審査及び評価について意見を聴取する

○発注者支援の推進に関する規定
・発注者は、工事が高度な技術を要すること等により自ら実施することが困難な場合、国、地方公共団体その他の法令により発注者支援を実施できる機関その他の発注者を支援する機関への委託の活用により、業務の円滑な実施に努めなければならない

○品質確保の推進関する規定
・政府は、発注者に対して政策の実施状況の報告を求め、これをとりまとめて公表するとともに、必要な措置を要請できる
・政府は、公共工事の品質確保に関する基本的な方針を定めるとともに、施策の総合的な推進を図る




 この法律案の審議にあたって、3月29日の参議院国土交通委員会にて答弁に立ち、「なぜ今この時期にこの法律が必要であるのか」等の質問に答えました。
 
 ○衆議院議員(岸田文雄君)
 この分野につきましては北澤先生大変もうお詳しくいらっしゃいますとは存じますが、御案内のとおり、この公共工事というもの、他の物品調達と違いまして、調達してみないと品質を評価できないというような特性等がございます。
 要は、受注者の技術力に大きく左右されるわけでありますが、にもかかわらず、昨今、低価格入札ですとかあるいはくじ引ですとか、こういったものに象徴されるように、その技術力がない者が受注され得る状況にあるということが指摘をされていますし、また発注者側も技術を評価する目がなかなか持ち合わせていないというようなことも指摘されています。さらには、予定価格等のありようによって民間の優秀な技術力を公共工事で吸収できないという点も指摘をされています。
 こういったことから、公共工事の品質というもの、国民の財産であります公共工事の品質がこのままいきますと低下してしまうんではないか、こういった危機感がまずもって背景にあるわけでございます。この背景の下に、価格のみならず、技術力、品質等を総合的に評価する新しい方式を導入するということの大切さ、こういった考え方、さらには具体的な施策、こういったものをこの法案の中に盛り込んで公共工事の品質の低下に何としても歯止めを掛けたい、これがこの法案提出の内容における趣旨でございます。
 
 あくまでもこの目的としましては公共工事の品質の低下を防ぎたいというのが本来の趣旨でありますし、また現状、どうも多くの市町村においてはこの技術というものに対する認識、あるいは評価の能力、随分低いようであります。
 こうした現状に対して、公共工事の品質というものはいかに大切か、あるいは価格だけではなくして、品質、技術力、こういったものを総合的に評価するものがいかに大切か、こういったものをしっかり理解していただく、こういったことを後押しする意味からも名称として公共工事の品質確保法という法律を付けさせていただいた次第でございます。是非御理解いただきたいと存じます。



 この法律に関して、今までよくご質問いただいたものを中心に、Q&A方式でお答えしようと思います。少しでもご理解の手助けになれば幸いです。
 
 Q.なぜこの法律が必要なのですか?
 A.公共工事によって作られる施設などの品質は、受注者である企業の技術力に依存する事になります。よって、品質を一定以上確保するためには、工事が行われる前に、企業の技術力を審査する必要があります。
 しかし現状では、受注の際に企業の技術力を考慮するようなシステムには、残念ながらなっていません。あるのは価格が高いか安いかという事だけです。もしくはくじ引きで決められる事もあるようです。これでは全く技術力が考慮されていないわけです。
 そんなこの状況を是正されるため、この法律によって、価格だけではない、技術力も工事受注の選定基準に含めようとしているのです。「安かろう悪かろう」になりがちだった現状を変え、民間の技術力を十二分に発揮してもらい、仮に多少価格が高くなったとしても国民が安心して将来にわたって使用できるような工事をしてもらおうというのが、この法律の趣旨です。
 
 Q.全ての公共工事にこの法律が適用されるのですか?
 A.ケースバイケースだと思っています。公共工事といっても様々な種類があり、中には高い技術力を必要としない工事もあるでしょう。その際にはそこまで技術力に重点を置く必要はないと考えています。この法律は、選択肢を増やすという意味合いも強くありますので、場合によって事情によって対応が変わってくると思います。
 
 Q.発注者に企業の技術力を審査できる能力が必ずしもあるとは限らないのではないでしょうか?
 A.おっしゃる通りです。現状では全ての地方自治体にその能力があるとは言えません。ですので、政府がそれをサポートする必要が出てきます。また、高度な技術を有している専門組織に委託するという形もあり得ると思っています。
 
 Q.その支援システムは公共の機関に限られるのでしょうか?
 A.支援システムを官が独占するような形にするのは適切ではないと考えています。民間には優れた人材も多く、高い技術力を有しているところもあります。よって、何らかの形で支援システムに民間も参加してもらえるようなものにしたいと思っています。
 
 Q.技術を評価するということは、大企業により有利になるのではないでしょうか?
 A.高度な技術とは、決して新しい技術とか、大規模な技術だけとかを指しているのではありません。例えば手際の良い効率的な作業方法ですとか、そういうものも含めて技術として認め、受注者選定時に反映させていきたいと思っています。よっと地元の中小企業も十分チャンスはありますし、むしろ地域に密着した中小企業こそがその技術力を発揮できるという場面も生まれてくるのではないかと思っています。
 
 Q.法律はすでに施行されていますが、これで今後の公共工事が変わるのでしょうか?
 A.この法律は、選択肢を増やしたという意味合いが強いものです。ですから今後必ずこの法律に沿って公共工事を発注しなければならないという事ではありません。
 また、発注者の技術サポート等の体制も、まだまだ十分とは言いにくいところがあります。この法律は新しい概念を作り出しているものですから、発注者・受注者共に意識改革をしてもらわなければなりません。それらの進み具合、定着具合によってこの法律が浸透する期間が大きく変わってくることでしょう。ですから、完全に認知され定着されるのには、数年の期間が必要になるのではないかと考えています。
 まずは国レベルの大規模な工事にこの法律を適用していき、ある程度ノウハウが出来た後に、地方に広がっていくという形になるのではないかと思っています。もちろん早くこの法律が定着し、適切な技術力を持った企業が、理想的な工事をするようになってほしいと思っています。

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